子供の遊びで鬼遊びの一つ。一群のなかから1人の鬼を選び、その1人に対しほかは親1人と多数の子供という形で進められていく遊び。この遊びは平安時代から行われ、ヒフクメの名で知られていた。地獄から鬼が子供を捕りにくるのを地蔵菩薩(ぼさつ)が防ぐという意味ともいわれ、恵心僧都(えしんそうず)が子供たちに教えたものとも伝えられている。江戸初期には「子捕り鬼」ともよばれ、子を捕ろうとする者と捕られまいと守る者の間で、次のような問答がある。鬼「子を捕ろ子捕ろ」、一同「どの子をみつけた」、鬼「ちょっとみりゃあの子」、一同「さあ捕ってみしゃいな」というもので、形式としては、鬼に向き合った親を先頭にして子は縦に長くつながる。鬼は列の最後の子を捕ろうとして右に左に追いかけ、これを防いで親は両手を広げて懸命に子を守る。結局捕らえられた者が次の鬼となり、鬼は今度は親になるのである。
先に述べた問答のことばのやりとりに遊びの興味が移っていって、広い地域にさまざまな問答体のことばが発達している。しかもそうなると、「子捕ろ」でなく「子買(か)お」というほうが名称としてふさわしいものとなり、そこで、鬼「子買お子買お」、一同「子に何しんじょ、砂糖にまんじゅう」、鬼「それは虫の大毒」というような問答が発達する。これは幕末の『風俗問状答書』にあげられた奥州白川(福島県)の例であるが、ほかの各地にもこれとよく似たものが発達して、遊びそのものも、物の売り買いの形に変わってきている。
[丸山久子]
鬼ごっこの一種。〈おやとりことり〉〈ことりおに〉〈ことろ〉など類似の別称があり,地方によっては〈おくまどろどろ〉〈ねこっこ〉などとも呼ばれる。江戸後期の随筆《骨董集》(山東京伝)に〈今童遊びに子とろ子とろといふ事をすめり。これいと古き事也。古へは比比丘女(ひふくめ)といへり。その始原は恵心僧都経文の意をとり,地蔵菩薩罪人をうばひ取給ふを,獄卒取かへさんとする体をまなび,地蔵の法楽にせられしより始れりといへり〉とあり,仏法の意に基づいて恵心僧都源信が創案した鬼遊びで,古くは〈ひふくめ〉と呼ばれていたことがうかがわれる。遊び方は,(1)まず鬼と親を1人ずつ決め他の者は子となる。(2)親を先頭に,子は一列縦隊となって前の者のベルトや腰を両手でもつ。(3)鬼は親の前に立ち,始めの合図で俊敏に左右へ動いて最後尾の子を捕らえようとする。これは各地ともはやしことばを称えて始める。たとえば,鬼:〈子をとろーことろ どの子をとーろ〉,親:〈ちいちゃとってみーさいな〉。(4)親は両手を広げて鬼の前進を阻止し,子が捕らえられないようにする。(5)捕らえられたら,その者は次回の鬼となる。
→鬼ごっこ
執筆者:半澤 敏郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…いわゆる〈目隠し鬼〉で,江戸後期は〈めなしどち〉〈めんないちどり〉などとも呼んでいた。(6)子捕ろ型 〈子捕ろ子捕ろ〉の項参照。(7)区画型 ある形の区画を描き,それに応じたルールを定めて行う。…
※「子捕ろ子捕ろ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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