デジタル大辞泉
「孝養」の意味・読み・例文・類語
きょう‐よう〔ケウヤウ〕【▽孝養】
1 親に孝行を尽くすこと。こうよう。
「母への―に生きながらえるみちもあるが」〈谷崎・盲目物語〉
2 亡き親のために供養をして、ねんごろに弔うこと。また、一般に死者の後世を弔うこと。追善供養。こうよう。
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きょう‐よう ケウヤウ【孝養】
① 親に奉仕、孝行すること。こうよう。
※
源氏(1001‐14頃)
常夏「いかでこの舌疾さ、やめ侍らむと、思ひさわぎたるも、いとけうやうの心深くあはれなりと見給ふ」
② 亡き親のためねんごろに弔うこと。転じて、一般に死者の
後世を弔うこと。供養
(きょうよう・くよう)。
教養。こうよう。
※東寺百合文書‐ヨ・長和二年(1013)一二月二〇日・藤原教子譲状案「かの御けうやうのために、ない大じんのあざりの房せいけんに、ながくまゐらせ候」
※
浮世草子・
武道伝来記(1687)六「汝が親の敵にまぎれなし。潔く討て孝養
(ケウヤウ)にすべし」
[語誌](1)呉音読みの「ケウヤウ」と、
漢音読みの「カウヤウ」の両形があるが、「色葉字類抄」「下学集」「文明本節用集」など比較的古い辞書では「ケウヤウ」が、「
日葡辞書」「書言字考節用集」など新しいものに「カウヤウ」が見られ、漢音読みは新しく生じたものである可能性がある。
(2)
一方「供養」という語があり、
三宝に供え物をし、死者に手向ける意で「クヤウ」が一般的な読みであったが、「供」の漢音読みの「キョウヤウ」が
中世に現われ、「供養」「孝養」が同音同義に使われるようになり、「供養」と区別するため、「カウヤウ」が広まったとみられる。
こう‐よう カウヤウ【孝養】
〘名〙
① 孝行を尽くしてよく親を養うこと。きょうよう。
※続日本紀‐和銅七年(714)一一月戊子「果安孝二養父母一」
※浜松中納言(11C中)一「孝養の心ざし深く」 〔日葡辞書(1603‐04)〕〔書経‐酒誥〕
② 亡き親のためにねんごろに弔うこと。供養。きょうよう。
※浮世草子・武道伝来記(1687)二「
不慮に是を討せ、其相手を
遠州迄尋ね、心のままに打取、孝養
(カウヤウ)にせんと」
[
補注]古い文献には「きょうよう」の読みも多いが、読みの不明のものは、便宜上この項に収めた。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報