何か(読み)ナニカ

デジタル大辞泉 「何か」の意味・読み・例文・類語

なに‐か【何か】

[連語]
代名詞「なに」+助詞「か」》
《「か」は副助詞》感覚・願望などの内容がはっきりしない事物をさす。「何かがありそうだ」「お茶何か飲みたい」
《「か」は係助詞感動詞的に用いる》
㋐相手の言葉・気持ちを確認しようとする意を表す。「それなら何か、君のほうが正しいというのだな」
㋑今まで述べてきたことや相手の言葉などを否定して、それとは反対趣旨を述べるときに用いる。いやいや。とんでもない。
「―。この歌よみ侍らじとなむ思ひ侍るを」〈・九九〉
副詞「なに」+助詞「か」》
《「か」は副助詞》はっきりした訳もなく、ある感情が起こるさま。どことなく。なんだか。「何か気味が悪い」
《「か」は係助詞》
疑問の意を表す。なぜ…か。どうして…か。
「あしひきの山も近きをほととぎす月立つまでに―来鳴かぬ」〈・三九八三〉
反語の意を表す。どうして…か、いやそんなことはない。
「命だに心にかなふものならば―別れの悲しからまし」〈古今離別
[類語]どこかいつかなになにかしらなになにこれこれこうこうかようこんなこういうこのようかかるこう斯く斯くしかじか

なん‐か【何か】

[連語]なにか」の音変化。「何か欲しいものはありませんか」

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「何か」の意味・読み・例文・類語

なに‐か【何か】

  1. 〘 連語 〙
  2. [ 一 ] ( 代名詞「なに」に助詞「か」の付いたもの )
    1. ( 「か」は係助詞 ) 不特定のものを指示し、疑問・反語表現に用いる。どのようなものが(…するだろうか)。どんなことを(…することがあろうか)。
      1. [初出の実例]「今城なる 小山が上に 雲だにも 著くし立たば 那爾柯(ナニカ)嘆かむ」(出典日本書紀(720)斉明四年五月・歌謡)
      2. 「世の中はなにか常なるあすか川昨日の淵ぞ今日は瀬になる〈よみ人しらず〉」(出典:古今和歌集(905‐914)雑下・九三三)
    2. ( 「か」は副助詞 ) 明確には指定できないが、確かに存在する、または、存在し得る事物・事態を示す。指定することをさけていう場合もある。なにがしか。また、多く、「…やなにか」「…かなにか」の形で、それそのものではないが、それに類するもの、の意でも用いる。→助詞「なんか」。
      1. [初出の実例]「いかにかくはあつまる。なにかあらん様のあるにこそ、あやしきことかな」(出典:宇治拾遺物語(1221頃)一一)
      2. 「諸大人のために何かの役に立ちに行くといふことは」(出典:夜明け前(1932‐35)〈島崎藤村〉第一部)
    3. ( 「か」は副助詞 ) ある事物・事態を指定しえないまま、しかるべきことばを模索する気持を表わす。どう言えばいいか。どう形容したらよいか。
      1. [初出の実例]「何か内裏女臈と見へまして、芥子の花を餝た様に大勢参られまするによって」(出典:虎寛本狂言・茫々頭(室町末‐近世初))
      2. 「あれは何かおかしなもので、御座りますぞへ」(出典:洒落本・遊子方言(1770)発端)
  3. [ 二 ] ( 副詞「なに」に助詞「か」の付いたもの )
    1. ( 「か」は係助詞 ) 原因・理由を問い、疑問・反語表現に用いる。どうして(…することがあろう)。なぜ(…するのか)。
      1. [初出の実例]「霍公鳥(ほととぎす)思はずありき木の暗(くれ)の斯くなるまでに奈何(なにか)来鳴かぬ」(出典:万葉集(8C後)八・一四八七)
      2. 「何か苦く候べき。御息所を忍で此へ入進(まゐら)せられ候へとて」(出典:太平記(14C後)一八)
    2. ( 「か」は副助詞 ) 原因や動機が不明のままある事態が成り立った時、それ以上詮索せず不明の原因として指示するのに用いる。どういうわけか。どういう風の吹きまわしか。
      1. [初出の実例]「おのづから町人形気になりて人皆心をゆるし、勝手までも出入するに、何か見かぎらるる事もなし」(出典:浮世草子・本朝桜陰比事(1689)四)
  4. [ 三 ] ( 代名詞「なに」に係助詞「か」の付いたもの。感動詞のように用いて )
    1. 相手の発言が、納得できなかったり、誤解を含んでいると思われたりする時に、相手の発言をさえぎる気持を表わす。どうしてどうして。とんでもない。
      1. [初出の実例]「なにか、心もなくて侍らんにふとみゆきして御覧ぜん御覧ぜられなんと奏すれば」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
    2. 相手のことばや気持を、確認しようとする気持を表わす。つまり(…なのだな)。要するに(…のつもりなのか)。
      1. [初出の実例]「むむ、そんなら何か。踏まれても撲たれても、言分ないといふのか」(出典:浄瑠璃・関取千両幟(1767)二)

など‐か【何か】

  1. 〘 副詞 〙 ( 副詞「など」に助詞「か」の付いてできたもの ) 「など」の疑問、反語の意を強めたいい方。
    1. [初出の実例]「藤波の繁りは過ぎぬあしひきの山ほととぎす奈騰可(ナドカ)来鳴かぬ」(出典:万葉集(8C後)一九・四二一〇)

どれ【何】 か

  1. ( 「か」は不定の意を表わす助詞 ) 不定の物事をさす。だれか。どこか。いずれか。どれぞ。
    1. [初出の実例]「けふの仏さまどれか存ぜぬといふ」(出典:浮世草子・好色盛衰記(1688)一)

なん‐か【何か】

  1. 〘 連語 〙 「なにか(何━)」の変化した語。
    1. [初出の実例]「其処に在るものを何んか出して持ってって遣れ」(出典:落語・戒名万金丹(1890)〈禽語楼小さん〉)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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