日本大百科全書(ニッポニカ) 「孫基禎」の意味・わかりやすい解説
孫基禎
そんきてい / ソンキジョン
(1912―2002)
韓国(大韓民国)の元マラソン選手。1936年のオリンピック・ベルリン大会で金メダルを獲得した韓国体育界の重鎮。1912年8月29日、平安北道(へいあんほくどう/ピョンアンプクド)の新義州(現在は北朝鮮)に生まれる。日本統治下の36年、ベルリン大会にマラソンの日本代表選手として参加し、2時間29分19秒の成績で優勝する。これを報道した『東亜日報』(朝鮮の日刊紙)などが、写真から胸の日章旗を削除して印刷したことが問題となり、停刊・廃刊に追い込まれた「日章旗抹消事件」は有名。その後、明治大学を卒業し、日本の敗戦による解放後は48年大韓体育会副会長に就任、63年には韓国陸上連盟会長、66年から79年まで韓国オリンピック委員会(KOC)常任委員、79年から88年にはソウルオリンピック組織委員を歴任した。82年マラソン強化委員長、83年社会体育センター顧問、85年韓国オリンピック委員会常任顧問に就任。91年にはソウル市に孫基禎公園がオープンした。
[荒木和博]