東亜日報(読み)とうあにっぽう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

東亜日報
とうあにっぽう

1920年朝鮮の京城 (現ソウル) で創刊されたハングルによる新聞。民族意識がきわめて高く,創刊後の 10年間に朝鮮総督府により発行停止2回,押収処分 299回を受けた。特に 1936年のベルリン・オリンピック競技大会でマラソンのソン・ギジョン (孫基禎) 選手の優勝を報じた8月 25日夕刊の写真ではトレーニングシャツの胸から日の丸を消したため,27日に無期限発行停止を命じられた。9ヵ月後に刊行を許されたが,1940年8月総督府によって廃刊させられた。しかし解放後の 1945年 12月復刊し,野党的新聞として大韓民国 (韓国) 最大の発行部数をもつ夕刊紙となった。 1993年には日刊紙に衣替えし,韓国を代表する新聞となった。

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百科事典マイペディアの解説

東亜日報【とうあにっぽう】

韓国の新聞。1920年ハングルを用いた民族紙として創刊。朝鮮総督府に批判的だったため1940年廃刊,第2次大戦後復刊。李承晩朴正煕両政権下では野党的立場をとった。1970年代の〈十月維新〉体制下ではその立場を一貫させることはできなかったが,1974年の言論自由闘争と白紙広告事件などを通して韓国を代表する言論紙としての位置を占める。日刊紙(夕刊のみ)。本社ソウル。発行部数約215万部(1998年)。
→関連項目金性洙洪命熹宋鎮禹孫基禎

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世界大百科事典 第2版の解説

とうあにっぽう【東亜日報】

韓国の新聞。三・一独立運動の翌1920年4月金性洙らが創刊。初代社長朴泳孝,主幹張徳秀。〈朝鮮民衆の表現機関〉を標榜して言論・啓蒙活動に大きな役割を果たした。金性洙,宋鎮禹ら右派民族主義者の立場を代弁したが,《朝鮮日報》とともに植民地期の民衆運動を知るうえで不可欠の資料でもある。30年代前半には〈ブ・ナロード運動〉(労働夜学など識字運動を中心とした農村啓蒙運動)を呼びかけるなどの活動を行ったが,36年〈日章旗抹消事件〉(〈孫基禎〉の項参照)で4度目の停刊処分を受け,40年8月強制廃刊。

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大辞林 第三版の解説

とうあにっぽう【東亜日報】

ソウルで発行されている韓国の代表的な夕刊紙。1920年の創刊以来たびたび迫害・弾圧を受けるが、一貫して民主主義擁護の立場をとる。トンア-イルボ。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

東亜日報
とうあにっぽう / トンアイルボ

『朝鮮日報』と並び韓国(大韓民国)で歴史のある代表的な日刊全国紙。欧文表記はDonga Ilbo。日本の統治下にあった1920年4月1日に「朝鮮民衆の表現機関を自任する」韓国語新聞として創刊され、以来幾多の迫害を受けながら、一貫して民主主義擁護の立場を表明してきた。1940年8月朝鮮総督府によって強制廃刊させられるまで、四度の停刊処分を受けた。もっとも有名なのは、1936年8月ベルリン・オリンピックでマラソン優勝者となった孫基禎(そんきてい/ソンキジョン)選手の胸の日章旗を抹消して紙面に掲載、9か月間の発行停止となった事件(日章旗抹消事件)である。第二次世界大戦後は1945年12月に復刊、1950年代後半には野党系の新聞として李承晩(りしょうばん/イスンマン)の独裁を非難。朴正煕(ぼくせいき/パクチョンヒ)軍事政権下の言論機関弾圧にも抵抗し、1980年代の全斗煥(ぜんとかん/チョンドファン)政権下でも抵抗精神を保ち、紙面を通じて民主化運動を支えた。創刊当時は夕刊として発行されていたが、その後時勢にあわせて数回発行形態を変更、1993年には夕刊から朝刊に変更、現在に至る。その後総合メディア企業を目ざし2000年には先端情報システムを備えたメディアセンターを完成した。国際版の発行や海外メディアとの提携にも積極的である。発行部数は128万部(2009年、韓国ABC協会)。本社はソウル。[鈴木ケイ・木村綾子]

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世界大百科事典内の東亜日報の言及

【孫基禎】より

…1936年ベルリン・オリンピックのマラソン競技に日本選手として出場,2時間29分19秒2のタイムで優勝した。この快挙を報道した《東亜日報》は孫選手の胸の日の丸を黒々とぬりつぶした写真を掲載し(日章旗抹消事件),朝鮮の民衆は民族感情を鼓舞された。総督府はこれを口実に同紙を無期停刊処分にし,《朝鮮日報》も停刊した。…

※「東亜日報」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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