宇佐八幡宮に奉幣のため派遣される勅使。天皇即位の奉告,即位後の神宝奉献(一代一度の大神宝使),兵乱など国家の大事の際の祈願の場合のほか,醍醐天皇のころよりは恒例の使も行われたが,それは《朝野群載》所収の宣命などによれば3年に1度の定めであったらしい。使の初見は天平年間にみられ,1321年(元亨1)後醍醐天皇即位のときに派遣された後中絶したらしく,1744(延享1)に復興した。平安時代に勅使は五位の殿上人が充てられ,神祇官の卜部(うらべ)らが従った。天皇即位の奉告の使は,宇佐和気使と称して必ず和気(わけ)氏の五位の者が遣わされる例であり,これは先祖の和気清麻呂が道鏡の事件のとき,使として宇佐八幡の神託をうけた功績にちなんだもので,833年(天長10)に仁明天皇の即位奉告のため従四位下和気真綱(清麻呂の子)が遣わされたのが初例のようである。勅使発遣の儀式については《江家次第》等に詳しい。
執筆者:黒板 伸夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…これを宇佐和気使という。奉幣の勅使である宇佐使(うさのつかい)は南北朝時代から中絶したが,1744年(延享1)再興された。1873年(明治6)宇佐神宮と改称され,1924年には10年ごとの例大祭(3月18日)に勅使が差遣されることになった。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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