律令(りつりょう)制下の神祇官(じんぎかん)に属し亀卜(きぼく)(かめうら)による卜兆をつかさどった伴部(ともべ)。『養老令(ようろうりょう)』では定員20人で、『延喜式(えんぎしき)』にその内訳を伊豆5人、壱岐(いき)5人、対馬(つしま)10人とする。卜部は古く大和(やまと)王権下の祭祀(さいし)担当の部として成立したもので、大陸伝来の亀卜と並行してわが国固有の鹿卜(しかうら)(太占(ふとまに))も行われ、前記の3か国以外の諸国にも分布が認められる。東国では「占部(うらべ)」と記す者がほとんどで、鹿卜を主体としたようであるが、とくに常陸(ひたち)国(茨城県)の占部は、中臣(なかとみ)氏と氏族的に結び付く可能性がある。
[加藤謙吉]
神祇官の伴部(ともべ)。定員20人。おもな職掌は亀卜(きぼく)で,6月・12月の晦日などの大祓(おおはらえ)時の解除も行った。大宝令では定員がなかったらしいが,その官員令別記の規定から「延喜式」まで,対馬の上県(かみつあがた)・下県と壱岐・伊豆から一定数の卜部を貢進させて奉仕させる制度に変化はなかった。775年(宝亀6)卜部中の優秀者2人を卜長上として卜部を管掌させ,のちにこれを宮主(みやじ)と称した。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
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