国指定史跡ガイド 「宗像神社境内」の解説
むなかたじんじゃけいだい【宗像神社境内】
福岡県宗像市田島にある神社。玄界灘に浮かぶ沖ノ島に沖津宮、筑前大島に中津宮、そして陸地の市内田島に辺津(へつ)宮があり、3社をあわせて宗像神社と呼ぶ。祭神はそれぞれ田心(たごり)姫神、湍津(たぎつ)姫神、市杵島(いちきしま)姫神で、宗像三神と総称される。九州と朝鮮半島のほぼ中央という海上交通の要所に位置する沖ノ島は、島全体が神体であり、現在でも女人禁制が続いているが、1954年(昭和29)以来3次にわたって行われた発掘調査では、一括して国宝に指定されている銅鏡や勾玉(まがたま)などの装身具、金銅製馬具、武器、土器などをはじめ、4~10世紀にわたる大量の祭祀遺物が発見された。なかにはペルシア・ササン朝製とみられるガラス椀の破片などもあり、沖ノ島が「海の正倉院」と呼ばれるゆえんである。『日本書紀』によれば、天照大神の子どもが宗像三神にあたるといい、神功(じんぐう)皇后が新羅(しらぎ)出兵の折、ここに航海の安全を祈り、霊験があったといわれ、古くから海の神として信仰を集めていた。大化改新(645年)によって国郡の制が敷かれると、豪族宗像氏が神社に奉仕し、宗像神郡を支配した。鎌倉時代以降は武家の信仰も厚く、小早川氏や黒田氏による社殿の造営や修復が行われた。辺津宮境内には重要文化財の本殿・拝殿をはじめ、100神を超える神を祭る末社などが並ぶ。3社の境内は、1971年(昭和46)に国の史跡に指定された。中津宮のある大島の北側には沖津宮遥拝所があり、沖ノ島を望むことができる。辺津宮へは、JR鹿児島本線東郷駅から西鉄バス「宗像大社前」下車、徒歩約10分。中津宮(大島)へは、神湊港から市営渡船で約15分。