官民人材交流センター(読み)カンミンジンザイコウリュウセンター

デジタル大辞泉 「官民人材交流センター」の意味・読み・例文・類語

かんみんじんざいこうりゅう‐センター〔クワンミンジンザイカウリウ‐〕【官民人材交流センター】

各省庁が個別に行っていた国家公務員再就職天下り)あっせんを一元化する目的で、内閣府に設置された機関国家公務員法改正に伴い、平成20年(2008)に発足
[補説]再就職支援業務は平成22年(2010)3月末に終了。平成25年(2013)10月から民間会社を活用した再就職支援を実施している。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「官民人材交流センター」の意味・わかりやすい解説

官民人材交流センター
かんみんじんざいこうりゅうせんたー

改正国家公務員法(正称「国家公務員法等の一部を改正する法律」平成19年法律第108号)第18条の7に基づき、2008年(平成20)末に内閣府に設けられた組織。同法18条の5で、内閣総理大臣は「職員離職に際しての離職後の就職の援助を行う」「官民の人材交流の円滑な実施のための支援を行う」と規定しており、早期退職した国家公務員に対し、民間人材会社に委託する形で、営利企業や非営利法人への再就職を斡旋(あっせん)している。また各省庁と民間企業との人事交流を進める業務も担っている。同センターのトップは官民人材交流センター長で、内閣官房長官が務める。2013年10月から2016年3月末までに、同センターを利用できた国家公務員は4168人いたが、実際に同センターを利用して再就職した人は48人にとどまった。このため公務員の再就職に際しては、出身省庁のOBの紹介などのほか、法的に禁じられた現役職員による再就職斡旋が横行しているのではないかとの批判マスコミ野党などから出ている。

 官民人材交流センターはもともと、各省庁が独自に担っていた国家公務員の営利企業や非営利法人への再就職斡旋業務を首相官邸に一元化し、不正な天下りを防止する目的で発足した。公務員制度改革の一環で、再就職などの規制を行う再就職等監視委員会の設置と同時に発足した経緯がある。しかし、天下り全廃を掲げる民主党政権は官民交流人材センターを「天下りバンク」と批判し、公務員の就職斡旋を原則禁じたため、2009年9月に、組織の改廃に伴う離職者を除いて、就職斡旋業務を休止した。その後、自民党政権への交代に伴い、2013年10月から、早期退職した国家公務員に限って、民間企業へ委託する形で、就職斡旋業務を再開した。

[矢野 武 2017年7月19日]

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知恵蔵 「官民人材交流センター」の解説

官民人材交流センター

退職公務員の民間企業や特殊法人、独立行政法人などへの再就職(いわゆる天下り)は、彼らが高額の退職金を得て天下り先を渡り歩いていることや、所属していた官庁と天下り先との間に不明朗な関係をもたらしているとして、長いこと問題視されてきた。安倍政権は2007年の通常国会に国家公務員法の改正法案を提出し、天下り規制を行うとした。成立した国家公務員法改正法は、内閣府に官民人材交流センターを設置し、退職予定公務員はここに登録し、センターが再就職先をあっせんすることで、所属官庁によるあっせんをなくすとするものである。ただし、官民人材交流センターの具体的制度設計は政令で行うとされており、具体像は明らかではない。官民人材交流センターが求人情報をいかにして集めるのかは、法案審議過程で議論の焦点とされた。所属官庁から情報が上がるならば、従来の官庁によるあっせんと変わらないとの批判も根強い。またこの改正法は、現職公務員だけを対象としており、いったん退職してしまえば規制はかからないし、既に退職して特殊法人などの役員に就いているOBも規制対象外であり、「抜け穴」が多いとの批判もある。

(新藤宗幸 千葉大学法経学部教授 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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