精選版 日本国語大辞典 「定家仮名遣」の意味・読み・例文・類語
ていか‐かなづかい‥かなづかひ【定家仮名遣】
- 〘 名詞 〙 鎌倉時代、藤原定家が定めたといわれる同音のかなの使い分け。定家の作と伝える「下官集(げかんしゅう)」の「嫌文字事」の条に、「を」「お」、「い」「ひ」「ゐ」、「え」「ゑ」「へ」の三類八字についてその用い方が示されている。のち、南北朝時代に行阿(ぎょうあ)がこれに「わ」「は」「ほ」「う」「ふ」「む」を加えて、「仮名文字遣」を著わしたほか、定家を祖述した多くのかなづかい書があり、これらを総称していう。江戸時代まで主として歌学の方面での規範とされた。定家は、古典書写の際にこの原則を立てたと見られるが、その内容は平安時代の用例とは異なるものがあり、また、「を」「お」については、語のアクセントを書き分けの基準としたと論ぜられている。