日本大百科全書(ニッポニカ) 「定海」の意味・わかりやすい解説
定海
ていかい / ティンハイ
中国、浙江(せっこう)省東端にある舟山(しゅうざん)市の市轄区。舟山群島の舟山島を中心に128の島からなる。人口38万7700(2015)。唐代に翁山(おうざん)県が設置され、明(みん)代に定海衛となり、清(しん)代初めに定海県が置かれた。のち直隷庁に改められたが1912年ふたたび県に復した。海防上の要衝として古くから重視されてきたが、アヘン戦争の際イギリス海軍に占領されたこともある。1987年、普陀(ふだ)県と合併し舟山市として市制施行、その市轄区となった。米、サツマイモなど農業が生業であるが、付近の海域は中国有数の漁場で、タチウオ、アイナメ、イカ、クラゲなどの漁獲が多い。また中華人民共和国成立後、製塩業の発展が著しい。名勝・旧跡には黄楊尖(こうようせん)、祖印寺、アヘン戦争遺跡公園などがある。
[林 和生・編集部 2017年4月18日]