客塵(読み)きゃくじん

精選版 日本国語大辞典 「客塵」の意味・読み・例文・類語

きゃく‐じん ‥ヂン【客塵】

〘名〙 仏語。(煩悩(ぼんのう)を説明した言葉で)煩悩は人間の心に本来あるものではなく、主人に対する客のように、また虚空に対しては浮動する塵のようなものだということ。また、塵は煩悩をさすともいう。かくじん。
※本朝無題詩(1162‐64頃)五・秋三首〈藤原忠通〉「迷暗更無山月導、観空猶被客塵侵
※米沢本沙石集(1283)五末「妄心は〈略〉境を縁してうつり、ものに随って転す。我と云べきものなし。此を客塵(キャクヂン)に喩ふ」 〔勝鬘経‐自性清浄章〕

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普及版 字通 「客塵」の読み・字形・画数・意味

【客塵】きやくじん(ぢん)

旅の苦労。また、仏教で煩悩をいう。宋・成大〔如夢堂の壁に題す〕詩 片雲、歸を載せず 兩(りやうべん)(すべ)て客塵に供す

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「客塵」の意味・わかりやすい解説

客塵
かくじん

仏教用語。煩悩のこと。煩悩とは,身体や心を苦しめ悩ます精神作用総称。仏教ではその煩悩の種々の作用を名称を変えて説明している。客塵もその一つで,煩悩は微細で数多いことから塵といい,実体のあるものではなく,真実の智慧顕現すれば,去って消えてしまうものであるから客という。

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