大乗仏典の一つ。原題《シュリーマーラーデービー・シンハナーダ・スートラŚrīmālādevī-siṃhanāda-sūtra》。サンスクリット原典は失われ(断片は他書に引用されている),チベット語訳と2種の漢訳(求那跋陀羅(ぐなばだら)訳,菩提流支訳)が現存。広く用いられるのは求那跋陀羅訳《勝鬘師子吼一乗大方広方便経》である。本経は舎衛(しやえい)国波斯匿(はしのく)王の王女勝鬘夫人の説法を釈尊が承認するという形をとっており,在家女性の説法という点で特異である。思想的には,《法華経》を受けた一乗思想を高揚し,また,一切衆生は煩悩にまとわれているが,本性は清浄無垢で如来の本性を備えていると説く(如来蔵説)。中国,日本で広く親しまれ,聖徳太子の《三経義疏》の一つ《勝鬘経義疏》など注釈も多い。
執筆者:末木 文美士
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…すべての人々は,如来を胎児として蔵しているという意味である。 この思想は,《如来蔵経》に始まり,《不増不減経(ふぞうふげんきよう)》や《勝鬘経(しようまんぎよう)》によって継承され,《宝性論(ほうしようろん)》にいたって組織体系化された。また,《涅槃経(ねはんぎよう)》(大乗)では,とくに〈仏性〉という語が用いられ,この思想が展開されている。…
※「勝鬘経」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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