通常の大きさの文字と小書きされた文字を書き混ぜる記録形式。「続日本紀」のなかの宣命を書き記す際に顕著にみられるのでこの名がある。小書きされる文字は,活用語尾や助詞・助動詞などの付属語に多く,中心の概念を表す文字は通常の大きさに書かれるのがふつうであることから,文法上の弁別意識がみられるとする考えもあるが,漢文の記録形式との対比から区別がうまれたと考えるのが妥当。読みあげることを目的とした祝詞(のりと)・告文・講式・和讃(わさん)・歌謡などにみられ,すべてを同じ大きさの文字で書き表したときの読みにくさを除くためにうまれた方式であろう。最古の文献は,正倉院文書の天平勝宝9年(757)の宣命案とされる。のちの「今昔物語集」などでも用いている。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
…詔の一形式。宣命はテニヲハに万葉仮名を用いるなど和文を漢字によって表記したもので,この文体を宣命体ともいう。現存する宣命で最も古いのは,《続日本紀》の文武天皇即位(697年)の宣命で,以後その例は数多い。…
…文語体は,さらに多くの種類にわかれる。和文,和歌の文,宣命(せんみよう)体,漢文訓読文,和漢混淆(こんこう)文,変体漢文,普通文など。これらのうち,和文以下変体漢文までは,平安時代にすでにその形が整っており,以後現代にまで引き続き行われたものである。…
※「宣命体」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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