宮の前廃寺跡(読み)みやのまえはいじあと

国指定史跡ガイドの解説

みやのまえはいじあと【宮の前廃寺跡】


広島県福山市蔵王町にある寺院跡。福山市街の北東約4km、かつては湾岸の、南面する丘陵の中腹に位置する奈良時代の寺院跡で、現在は八幡神社の境内になっている。数次にわたる発掘調査で、東に塔、西に金堂を配した、いわゆる法起寺(ほっきじ)式の伽藍(がらん)配置が明らかになった。塔跡は1辺12.7m、高さ1.2m、金堂跡は東西24.9m、南北14mであることが確認された。塔・金堂ともに塼(せん)積みの基壇で、残存状況は良好である。奈良時代、平安時代の数種類の軒瓦(のきがわら)・塼仏のほか、「紀臣和古女」「紀臣石女」「栗栖君」「粟麻呂」などをへら書きした文字瓦が出土している。奈良時代前期(白鳳(はくほう)時代)に創建され、平安時代までは存続したと考えられている。遺跡地は、『法隆寺伽藍縁起并流記資財帳』に記された備後(びんご)深津庄、あるいは『日本霊異記』の深津市(いち)に比定されている地域であり、遺物・遺構のほか立地の背景などからも貴重な遺跡といえる。1969年(昭和44)に国の史跡に指定された。JR山陽新幹線ほか福山駅から市バス「市民病院前」下車、徒歩約3分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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