日本大百科全書(ニッポニカ) 「宮峠」の意味・わかりやすい解説
宮峠
みやとうげ
岐阜県高山市の中南部、飛騨(ひだ)地方の分水嶺(ぶんすいれい)の鞍部(あんぶ)にある峠。峠の東側は秩父中・古生層で、西側の濃飛(のうひ)流紋岩と断層で接する。峠の南方斜面は緩やかであるが、北側は急な斜面である。この峠を通る交通路は、天正(てんしょう)(1573~1592)の末ごろ金森長近(かなもりながちか)によって開かれ、長い間、峠から北へ降りる道は、麓(ふもと)の水無(みなし)神社まで直線的な急坂であった。この道は明治以後改修され、とくに明治末から大正の初め幅3.6メートルに拡幅され、急斜面を西へ迂回(うかい)することとなり、さらに1965年(昭和40)には、すでに昇格した国道41号が幅8メートルの舗装道路に改修された。一方、高山本線は、1934年(昭和9)この峠の西方を同線最長の2キロメートル余のトンネルで全通した。なお、この峠を境に、南と北の天気などの差異が大きい。
[上島正徳]