富士火山(読み)ふじかざん

最新 地学事典 「富士火山」の解説

ふじかざん
富士火山

Fuji volcano

山梨・静岡県境の東西約22km,南北約13kmの範囲に分布する大型の第四紀火山で,標高3,776mの日本最高峰をもつ。また,山体体積も,陸上火山では日本最大級。気象庁の活火山名は富士山。活動は10万年前頃から始まり,最新噴火まで液相濃集元素に富んだ分化した玄武岩マグマを長期にわたり噴出し続けている。活動開始から1.7万年前頃までの星山期は,爆発的噴火により火砕物を繰り返し放出し,風下の南関東一帯を被覆して,武蔵野立川ローム層の主要部分を形成。1.7万年前〜8千年前頃の富士宮期には,山麓を広く覆う大規模な溶岩流を噴出した。代表的なものは,北東山麓の猿橋溶岩流,南東山麓の三島溶岩流,西山麓の芝川溶岩流。8千年前頃からは活動が顕著に低下し,須走期へと移行した。5.6千年前頃から噴火活動が再活発化し,現在の山頂部を持つ円錐状の火山体がほぼ完成した。3.5千年前頃から噴火様式が変化し,山頂及び山腹での爆発的噴火が卓越する活動が,2.3千年前頃まで継続した。山頂部の溶結した火砕物は,この時期の爆発的噴火の産物。また,北西山麓にある大室山は,3.3千年前の山麓での爆発的噴火で形成された火砕丘。一方,2.9千年前頃には東山腹で山体崩壊が発生し,山麓に御殿場岩屑なだれ堆積物が形成された。2.3千年前以降は,山頂火口の活動は停止し,山腹割れ目噴火が繰り返された。奈良〜平安時代は,特に活動が活発で,20〜30年毎に北西・南東・東山腹で噴火が発生。その中で最大規模の噴火は,青木ヶ原溶岩流を噴出した貞観噴火(864〜866年)。最新の宝永(1707年)噴火は,南東山腹で発生した爆発的噴火で,山腹には3つの火口が形成された。この噴火では,最初期に富士火山ではまれな珪長質マグマが少量放出され,その後,玄武岩質マグマが噴出。軽石,火山弾,スコリアからなり,溶岩流は伴っていない。火山灰は上空偏西風に乗り,江戸にまで到達した。津屋(1968)などは溶岩の層序から古富士火山と新富士火山に区分前者は星山期,後者は富士宮期と須走期に相当),町田(1964)は降下火砕物の層序から古期富士火山と新期富士火山に区分(前者は星山期と富士宮期,後者は須走期に相当)した。両者の古/新の境界は異なっており,混乱の原因となった。津屋(1968)などは古富士火山と新富士火山の間に活動休止期があるとしたが,星山期と富士宮期の間に休止期はなく,須走期初頭の顕著な休止期は新富士火山の途中にある。以上から,古富士火山と新富士火山の区分を用いることは適切ではない。

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出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

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