寸鉄人を刺す(読み)スンテツヒトヲサス

故事成語を知る辞典 「寸鉄人を刺す」の解説

寸鉄、人を刺す

短く鋭いことばで人の急所をつくことのたとえ。

[使用例] 整然たる論文でなく、断章であるために読者に思わぬ波及効果をあたえ、さまざまの思いに馳せさせるところに、アフォリズム寸鉄人を刺すような効果がある[佐藤朔*反レクイエム|1983]

[由来] 「鶴林玉露―地集一・殺人手段」に見える、一二世紀の中国、なんそう王朝の時代の思想家、しゅのことばから。朱熹は、孔子の弟子たちを評価して、博識で弁の立つこう兵器を積んだ車のようだが、堅実なそうは、「寸鉄、人を殺す者なり(小さな刃物で人を殺すように、短いことばで他人を説得できる人物だ)」と述べた、とあります。

〔異形〕寸鉄、人を殺す。

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ことわざを知る辞典 「寸鉄人を刺す」の解説

寸鉄人を刺す

短く鋭いことばで人の急所をつくことのたとえ。

[使用例] くどくど理屈っぽい説明をしない。寸鉄人を刺すというやつで、ズバリ一言で表現する。それがまた実に適切で、そういう点からしても、根は聡明な人だった[升田幸三名人香車を引いた男|1980]

[解説] 中国南宋の「鶴林玉露―地集一」の「曽子の約を守るは、寸鉄人を殺す者なり」によることば。「寸鉄」は短剣など、小型の武器。かつては、「人を殺す」の形が多かったのですが、近年では、「人を刺す」の形が多くなり、前者はしだいに使われなくなっています。

英語〕Words cut more than swords.(言葉は剣よりもよく切れる)

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