アフォリズム(読み)あふぉりずむ(英語表記)aphorism

翻訳|aphorism

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アフォリズム」の意味・わかりやすい解説

アフォリズム
あふぉりずむ
aphorism

警句箴言(しんげん)、金言語源であるギリシア語のaphorismosは定義意味で、ギリシアの医学者ヒポクラテスが、病気の診断、治療法を簡潔に述べたものをアフォリズム初めてよんだ。有名な例は「人生は短く、人為は長く、機会は逃げやすく、実験は危険を伴い、論証はむずかしい。医師は正しと思うことをなすだけでなく、患者や看護人や外的状況に助けられることが必要である」であり、後世、始めの部分だけを普遍的な警句「芸術は長く、人生は短し」と改変したのである。こうしてアフォリズムは簡潔要を得た表現で人生の機微を写すものとなり、エピグラム格言(プロバーブ)とさして変わらぬものとなった。しかし、言い伝えられてきた諺(ことわざ)や処世訓と異なり、作者独自の個性的な機知に富んだ表現であって、フランスのモラリストに愛好され、ラ・ロシュフコーやラ・ブリュイエールらによって優れた作品が生まれた。日本でも芥川龍之介(あくたがわりゅうのすけ)の『侏儒(しゅじゅ)の言葉』がよい例といえる。

[船戸英夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アフォリズム」の意味・わかりやすい解説

アフォリズム
aphorism

金言,格言。初めはギリシア語の語源に従って理論原理の「定義」の意味に用いられたが,のちには原則や一般に受入れられた真理を端的な言葉で表わしたものをいう。ヒポクラテスが最初に用い,「術は長く生は短し」 Ars longa,vita brevis.はその一例

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