対馬音(読み)つしまごえ

精選版 日本国語大辞典 「対馬音」の意味・読み・例文・類語

つしま‐ごえ ‥ごゑ【対馬音】

〘名〙 上代日本に伝来した漢字音一種後世呉音と同一視された。欽明天皇五三九‐五七一)の時、百済尼僧法明が対馬国長崎県)に来て維摩経を呉音で読んで仏教を伝えたという伝承による。つしまおん対馬
※醍醐寺本法華経釈文(976)表紙裏書込「対馬(つしま)都司馬音 平声の字は都司馬音には渡上音 上去字対馬音渡平声」

つしま‐おん【対馬音】

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デジタル大辞泉 「対馬音」の意味・読み・例文・類語

つしま‐おん【対馬音】

古く、日本に伝来した漢字音の一。後世、呉音と同じものとされた。欽明きんめい天皇の時、百済くだらの尼僧、法明が対馬に来て呉音で維摩経ゆいまぎょうを読んで仏教を伝えたという伝承による。つしまごえ。

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世界大百科事典(旧版)内の対馬音の言及

【呉音】より

…仏教関係の用語にもちいられることが多い。対馬(つしま)音は呉音の別称である。字音【三根谷 徹】。…

【字音】より

…もちろん,訓は中国語の字音の借用ではない(〈馬(うま)〉〈梅(うめ)〉等微妙なケースもないではないが)ので,漢字音ではない。 一方,〈音〉には大別して〈呉音(ゴオン)〉(対馬音(ツシマオン)),〈漢音(カンオン)〉〈唐音(トウイン∥トウオン)〉(宋音)の三つがあり,それぞれ別の字音体系を成している。例えば,〈明〉は呉音ミヤウ,漢音メイ,唐音ミン,〈公〉はそれぞれク,コウ,クンである。…

※「対馬音」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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