尺素(読み)セキソ

デジタル大辞泉 「尺素」の意味・読み・例文・類語

せき‐そ【尺素】

《1尺の絹布の意で、文字を書くのに用いたところから》短い手紙尺書
「去るに望み…懐を探り、―を与え」〈東海散士佳人之奇遇

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精選版 日本国語大辞典 「尺素」の意味・読み・例文・類語

せき‐そ【尺素】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「素」は帛の意。一尺ばかりの絹布の意で、文字を書くのに用いたところから ) わずかの書き物。手紙。尺書。尺楮(せきちょ)尺牘(せきとく)尺紙(せきし)
    1. [初出の実例]「蘇子卿之懐郷也、遙繋(セキ)素於秋雲之外」(出典:詩序集(1133頃)雁音催旅情詩序〈菅原脩言〉)
    2. 「且鄰里生熟の君子、遠方未見の才子、或は蔽屋に臨況し、或は尺素(セキソ)を寄て、その風流をしめし給ふもあれど」(出典:読本・椿説弓張月(1807‐11)続)
    3. [その他の文献]〔古楽府‐飲馬長城窟行〕

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普及版 字通 「尺素」の読み・字形・画数・意味

【尺素】せきそ

手紙。帛(きれ)にしるした短い手紙。〔古楽府、飲馬長城窟行〕客、方より來(きた)り 我に雙鯉魚(おく)る 兒を呼んで鯉魚を烹(に)しむ 中に尺素の書り 長して素書生帛にしるした書)を讀む 書上(つひ)に何如(いかん)

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世界大百科事典(旧版)内の尺素の言及

【尺牘】より

…牘は幅の広い木簡。中国で,古く書翰は,1尺の長さの木牘,きぬ(帛),紙などに書かれたので,尺牘,尺素,尺楮(せきちよ)などの名があるという。書翰が文学ジャンルの一つとして位置を占めたことは,たとえば《文選》に〈書〉という部類が立てられ,そこに司馬遷〈任少卿(じんしようけい)に報ずる書〉や嵆康〈絶交書〉などの作品が収められていることからも知られよう。…

【手紙】より

…用件を紙に書いて相手に伝える文書。
【日本】
 書状,書札,消息(しようそく∥しようそこ),尺素(せきそ),尺牘(せきとく)などともいう。ほかに手元において雑用に使う紙の意義もあるが,現在では用いられない。…

※「尺素」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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