デジタル大辞泉
「尺」の意味・読み・例文・類語
しゃく【尺】
[名]
1 尺貫法の長さの基本単位。1寸の10倍。1丈の10分の1。1尺は、曲尺では約30.3センチ、鯨尺では約37.9センチ。
2 長さ。たけ。「尺が足りない」「尺を測る」
3 物差し。さし。
[接尾]《「隻」の借字》助数詞。魚などを数えるのに用いる。
「腰に鮭の一二―なきやうはありなんや」〈宇治拾遺・一〉
さか【▽尺】
長さの単位。1杖(約3メートル)の10分の1。しゃく。
「杖足らず八―の嘆き嘆けども」〈万・三三四四〉
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しゃく【尺】
- [ 1 ] 〘 名詞 〙
- ① 尺貫法の長さの単位。約三〇・三センチメートル。寸の十倍。丈の十分の一。令制の尺には測地尺としての大尺と、常用尺としての小尺が規定されている。大尺は高麗尺(こまじゃく)とも呼ばれ、小尺の一・二倍の長さ。和銅六年(七一三)度量制に変改があって、令の小尺を大尺と規定した。和銅の大尺(令の小尺)はその後若干延びて曲尺(かねじゃく・きょくじゃく)と呼ばれ、江戸時代に改定を重ねたが、長さに大差なく明治に至った。明治政府はメートル法を受容するに際し、三尺三寸(曲尺)を一メートルと規定。奈良時代の和銅の大尺(令の小尺)はこの曲尺に比して幾分短く、九寸八分弱であった。なお、鯨尺(くじらじゃく・げいじゃく)は曲尺の一尺二寸五分にあたる。〔令義解(718)〕
- [初出の実例]「大空より人雲に乗りておりきて、つちより五尺ばかりあがりたる程にたちつらねたり」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
- [その他の文献]〔孟子‐滕文公・下〕
- ② 長さ。たけ。「尺を取る」「尺を打つ」などと用いる。
- [初出の実例]「いしとうまるのせいしんを、ものによくよくたとふれば、よひにはへたるたかんなが、よなかのつゆにはごくまれ、しゃくをのぶるがごとくなり」(出典:説経節・説経苅萱(1631)上)
- [その他の文献]〔陳書‐後主紀〕
- ③ ものさし。さし。
- [初出の実例]「測レ影鉄尺一枚」(出典:続日本紀‐天平七年(735)四月辛亥)
- ④ 「しゃくあおり(尺障泥)」の略。
- [初出の実例]「泥障はしゃくの泥障とて、馬の皮を黒く塗たり、根本は琵琶の撥盤塗様にして、櫨の木の汁にて染たるなり」(出典:諸鞍日記(1716‐36頃))
- ⑤ =しゃくとりむし(尺取虫)〔日葡辞書(1603‐04)〕
- ⑥ 盆提灯の一種の名。
- [初出の実例]「挑燈の種類は大枕、小枕、尺、尺一、尺二と呼び」(出典:風俗画報‐一五九号(1898)七月)
- ⑦ 数量の八をいう。陶磁器商の符牒。
- [ 2 ] 〘 接尾語 〙 ( 「隻(せき)」の借字 ) 魚などを数えるのに用いる語。
- [初出の実例]「腰に鮭の一二尺なきやうはありなんや」(出典:宇治拾遺物語(1221頃)一)
さか【尺】
- 〘 名詞 〙 長さの単位。一杖(つえ)(=約三メートル)の十分の一。しゃく。
- [初出の実例]「八坂瓊(やサカに)の曲玉(まがたま)を」(出典:日本書紀(720)神代上(寛文版訓))
せき【尺】
- 〘 名詞 〙 尺貫法で、長さの基本単位。寸の一〇倍。約三〇・三センチメートル。しゃく。
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普及版 字通
「尺」の読み・字形・画数・意味
尺
常用漢字 4画
[字音] シャク・セキ
[字訓] ものさし・ちいさい
[説文解字]
[字形] 象形
手の指の拇指(おやゆび)と中指とを展(ひら)いた形。上部は手首、下部は両指を又状に展いた形で、わが国の「あた(咫)」にあたり、寸の十倍。寸は一本の指の幅。わが国の「つか(握、指四本の幅)」の四分の一にあたる。〔説文〕八下に「十寸なり。人の手、十を卻(しりぞ)きたる動を寸口と爲す。十寸を尺と爲す。尺は規(きく)(ものさし)の事を指尺(しせき)(斥)する以なり。尸(し)に從ひ、乙(いつ)に從ふ。乙は(しる)すなり。の制、寸尺咫(しじん)常仞の度量、皆人の體を以て法と爲す」といい、尺を尸と乙に従う字とするが、それでは字の形義を説きがたい。尺(せきかく)は尺とり虫。指間を展く形が、この虫の進むときの姿勢に似ている。
[訓義]
1. しゃく、十寸の長さ。寸は指の幅。ものさし。
2. 小さい、尺の長さのもの、手紙など。
3. 寸法、法則。
4. 年齢に換算して二歳半~三歳。六尺の孤は十五以下。丈夫は三十歳、壮という。
[古辞書の訓]
〔和名抄〕尺 辨色立に云ふ、尺は竹の量なり、太加波可利(たかはかり)〔名義抄〕尺 十寸、タカバカリ/曲尺 マガリガネ 〔字鏡〕尺 タカバカリ・ユラフ 〔字鏡集〕尺 タカバカリ・サダム
[部首]
〔説文〕〔玉〕に咫の一字を属する。釋の略体を釈に作るのは、尺thjyak、釈sjyakの声が近いからである。
[熟語]
尺八▶・尺▶・尺一▶・尺景▶・尺▶・尺簡▶・尺函▶・尺▶・尺▶・尺玉▶・尺▶・尺▶・尺口▶・尺▶・尺紙▶・尺二▶・尺書▶・尺進▶・尺薪▶・尺刃▶・尺燼▶・尺寸▶・尺籍▶・尺雪▶・尺素▶・尺宅▶・尺沢▶・尺地▶・尺楮▶・尺牒▶・尺鉄▶・尺椽▶・尺土▶・尺度▶・尺牘▶・尺波▶・尺帛▶・尺板▶・尺兵▶・尺璧▶・尺脈▶・尺鯉▶
[下接語]
盈尺・曲尺・径尺・鯨尺・五尺・三尺・咫尺・指尺・七尺・縮尺・準尺・書尺・縄尺・数尺・鈿尺・刀尺・八尺・百尺・法尺・六尺
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尺
しゃく
尺貫法の長さの単位。中国、朝鮮半島および日本を通じて用いられてきた。起源は、文字の示すように、手を広げて物に当てた長さである。『大戴礼(だいたいれい)』の孔子の言にも「手を布(し)きて尺を知る」とある。今日の尺は中国でも日本でも30センチメートルを超えているが、人の手幅は平均20センチメートル程度で、いまの6寸ほどであるから、数千年の間に長さの基準が変化したのである。その変化のありさまは時間的、地域的に異なるが、要約すれば、発生以来音律および公式用として公定されたものと、土木建築用、土地丈量用および裁衣用とに分かれて変化してきた。このうち土木建築用の曲尺(かねじゃく)は、周代に発生して以来技術とともに伝承されて、変化がなく今日に至っている。隋(ずい)代には音律、公式用の小尺と建築用の大尺とが公定されて大小尺制となり、唐に受け継がれて日本の大宝律令(たいほうりつりょう)(701)に採用された。しかしこれより前に、大尺で1尺2寸の高麗尺(こまじゃく)が土地用に用いられていたとみられている。律令の小尺は、まもなく実用されなくなり、一般に曲尺が用いられるようになった。室町時代以後、裁衣用に1尺2寸の呉服尺が、江戸時代には1尺2寸5分の鯨尺(くじらじゃく)が現れて民間に用いられた。1874年(明治7)枡座(ますざ)の枡に用いられていた尺(33分の10メートル)が平均に近い曲尺として採用され、今日に至っている。しかし、1959年(昭和34)にメートル法に統一され、現在では取引・証明上の計量には用いてはならないことになっている。
[小泉袈裟勝]
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尺 (しゃく)
尺貫法における長さの単位。曲尺(かねじやく)の尺と鯨尺の尺の2種に分かれる。
(1)曲尺の尺。尺貫法における長さの基本単位で,1891年制定の度量衡法において,日本国メートル原器を基準器として,実効上,10/33mと定められた。ここで実効上というのは,法文上は尺を長さの単位の基本としていることによる。したがって1尺は約30.303cmであり,分量単位は1/10尺の寸,以下十進法による分,厘,毛である。倍量単位は寸法用と距離・間隔用に分かれ,寸法用の倍量単位は10尺に等しい丈,距離用の倍量単位は6尺の間(けん),60間の町,36町の里である。
(2)鯨尺の尺。曲尺の尺の5/4倍,すなわち1尺2寸5分を単位とする尺を鯨尺尺といい,25/66mに等しく,約37.9cmである。倍量単位などについては〈鯨尺〉の項目を参照。尺貫法の廃止に伴い,曲尺の尺も鯨尺の尺も法定単位ではなく,取引,証明には使用できないが,それぞれ和風建築用,和裁用の道具の目盛として用いられている。なお,尺はものさしの意味にも用いられる。
→尺貫法
執筆者:三宅 史
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尺【しゃく】
尺貫法の長さの基本単位。一般に用いられるのは曲尺(かねじゃく)の1尺で,1891年度量衡法で1尺=10/33m(≒30.303cm)ときめられた。古代に周,高麗(こうらい)から伝来,701年大宝令で確定。中近世には曲尺,鯨尺(くじらじゃく),呉服尺(曲尺の1尺2寸),享保(きょうほう)尺(曲尺よりわずか長い),又四郎尺(曲尺よりわずか短い,大工用),折衷尺(伊能忠敬が享保尺と又四郎尺を平均して作ったもの,現在の曲尺の基)等さまざまな尺が使われた。1尺=1/10丈=1/6間=10寸=100分=1000厘=1万毛。
→関連項目間|寸
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しゃく【尺】
長さの基本単位。10寸。1丈(じょう)の10分の1。古代中国の計量法(1尺は約18cm)が、約1200年前に伝来した。和裁用の鯨尺(くじらじゃく)は約37.8cm、土木・建築などの曲尺(かねじゃく)は約30.3cm。1966年(昭和41)の計量法改正により、商取引を含めて使用は禁止されている。
出典 講談社単位名がわかる辞典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
世界大百科事典(旧版)内の尺の言及
【度量衡】より
… なお度量衡に対応する西欧語は,英語weights and measures,フランス語poids et mesures,ドイツ語Mass und Gewichtなどであって,質量(weights,poids,Gewicht)と長さ・体積(measures,mesures,Mass)との並列という表現になっている。
【史上の度量衡】
中国の《書経》の後につけられた注疏(ちゆうそ)を見ると,〈度はこれ丈尺,量はこれ斛斗,衡はこれ斤両〉とあり,国の法制度としてこれらを等しくしておくのだといった説明がなされている。ここにいう丈,尺,斛(石とも書く)などは,ものごとを数量的に表現するための〈単位〉の呼名である。…
※「尺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」