尿道結石(読み)にょうどうけっせき(英語表記)Urethral Calculus

六訂版 家庭医学大全科 「尿道結石」の解説

尿道結石
にょうどうけっせき
Urethrolithiasis
(腎臓と尿路の病気)

どんな病気か

 大部分腎結石膀胱内に排出し、これが尿道に嵌頓(かんとん)した(尿道に詰まった)場合にみられます。男性が大部分で、女性はまれです。男性では、後部尿道(膀胱頸部(ぼうこうけいぶ)前立腺部尿道、外尿道括約筋(がいにょうどうかつやくきん)(尿道膜様部))や尿道球部、尿道振子部(しんしぶ)、外尿道口近傍(舟状窩(しゅうじょうか))などにみられます。尿道形成術後に尿道結石が発生する場合もあります。

 症状は排尿障害、血尿、排尿時痛・排尿後痛などです。触診、超音波、X線、膀胱・尿道鏡などの検査により診断が可能です。

治療の方法

 結石が外尿道口に近ければ、鉗子(かんし)鑷子(せっし)ピンセット)でつまんで摘出することが可能ですが、後部尿道の場合には金属ブジーや尿道バルーンカテーテルで一度膀胱内に押しもどしてから砕石を行うことがあります。膀胱内にもどらない場合には、麻酔下でTULのように尿道砕石を行います。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

家庭医学館 「尿道結石」の解説

にょうどうけっせき【尿道結石 Urethral Calculus】

[どんな病気か]
 尿道結石の多くは、膀胱(ぼうこう)結石が下降して尿道にとどまったものです。尿道狭窄(きょうさく)(「尿道狭窄」)や、尿道憩室けいしつ)(「尿路憩室」)などの病気にともなっておこることもあります。尿道結石は、ほとんどが尿道の長い男性におこります。
[症状]
 尿道内に結石がとどまり、はまりこんだようになるため、強い排尿障害や排尿痛を訴えます。また多くの場合、肉眼でわかる血尿がみられます。
 結石が尿道の先端まできている場合は、かたい異物として触れたり、尿線が何本かに分かれて出たりします。
 問診と触診を行なうことによって、診断はほぼつきますが、腹部X線撮影を行なって、結石の大きさ、数、形、位置を調べます。
[治療]
 結石が尿道の先端部にある場合は、尿道に潤滑剤を注入してから、腹圧をかけ、排尿とともに排出させるか、鉗子(かんし)を尿道口から入れて取り出します。尿道の奥にとどまっている場合は、ブジーという器具でいったん膀胱まで押しもどし、内視鏡を使って砕きます。尿道狭窄や尿道憩室があれば、その治療も必要となります。

出典 小学館家庭医学館について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「尿道結石」の意味・わかりやすい解説

尿道結石
にょうどうけっせき

腎臓(じんぞう)、尿管から下降した結石が尿道にひっかかった二次的な結石がほとんどで、尿道に異常がなければまもなく排出される。しかし、尿閉をおこしたときには、ブジーとよばれる金属棒を挿入して結石をいったん膀胱(ぼうこう)内に押し戻してから、内視鏡を使って砕石するか摘出する。結石が前部尿道にあるときは、異物鉗子(かんし)で摘出を試みる。結石より尿道の出口側に尿道狭窄(きょうさく)がある場合には、尿道ブジーで拡張すれば、結石は排出される。尿道憩室内にできた原発性の結石は、憩室を切除するほかはない。尿道前立腺(せん)部に発生する前立腺結石は、前立腺肥大症といわれる腺腫(せんしゅ)と本来の前立腺との境界付近にできるので、肥大症の手術を行わなくては除去できない。診断は、後部尿道や前立腺結石はX線撮影で、前部尿道の場合は触診か尿道鏡で行う。

[松下一男]

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