屏風歌(読み)ビョウブウタ

デジタル大辞泉 「屏風歌」の意味・読み・例文・類語

びょうぶ‐うた〔ビヤウブ‐〕【×屏風歌】

屏風絵主題に合わせて詠んだ歌。屏風ったり描いたりした色紙形に書く。

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精選版 日本国語大辞典 「屏風歌」の意味・読み・例文・類語

びょうぶ‐うたビャウブ‥【屏風歌】

  1. 〘 名詞 〙 屏風に描かれている絵の主題に合わせてよまれた歌。屏風にはられた色紙形に書く。
    1. [初出の実例]「以風俗歌楽所、以屏風歌絵所」(出典袋草紙(1157‐59頃)上)

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百科事典マイペディア 「屏風歌」の意味・わかりやすい解説

屏風歌【びょうぶうた】

屏風に描かれた絵を主題として詠作された和歌。四季12ヵ月を主題とした〈月次屏風歌〉や名所歌枕を主題とした〈名所屏風歌〉などがある。絵と歌とを同時に賞美する趣向は,9世紀後半から10世紀にかけて隆盛を極めた。長寿を祝う算賀,裳着(もぎ),入内(じゅだい),大嘗会等の行事のための屏風調進に伴って詠作された場合が多いが,歌に基づいて絵が制作されることもあった。
→関連項目題詠源順

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「屏風歌」の意味・わかりやすい解説

屏風歌
びょうぶうた

屏風に描かれた絵画にあわせて貼(は)られた色紙形に記された歌。平安時代、唐絵(からえ)屏風に漢詩を添えたのに倣って、倭絵(やまとえ)屏風には歌が付されるようになり、900年代前半(延喜(えんぎ)~天暦(てんりゃく)年間)に、調度品や賀の祝いとしてことに盛行した。絵は主として四季の景物や行事、名所などで、人物が描き添えられるのが普通。歌は画中の人物の心になって詠まれるが、のちには画中人物同士が歌を詠み交わすような趣向も出た。専門歌人が委嘱されて詠むのが普通で、紀貫之(きのつらゆき)、凡河内躬恒(おおしこうちのみつね)、伊勢(いせ)などがとくに名高い。

[菊地靖彦]

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世界大百科事典(旧版)内の屏風歌の言及

【名所絵】より

…名高い在原業平の〈ちはやぶる神代もきかず竜田川……〉などが,清和天皇の貞観年間(859‐877),陽成天皇が東宮であった870年ころに〈たつた(竜田)河にもみぢながれたるかた〉を描いた屛風絵を詠んだ歌としたもので,ここではすでに名所絵と四季絵とが,実質的に一致している。 こうした屛風歌や障子歌は,9世紀後半から始まって,おびただしい数が当時の歌集に収められており,平安時代の障屛画の盛大な様相を示している。なかでも歴代天皇の大嘗会(だいじようえ)の際の大嘗会屛風は,最も公的な行事の場を飾るものとして,10世紀以降の記録によれば,各時期の代表的歌人,書家,画家によって制作され,悠紀(ゆき)方・主基(すき)方各国郡の名所18ヵ所をそれぞれ6帖の屛風に描いたものであった。…

※「屏風歌」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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