山ノ上町(読み)やまのうえまち

日本歴史地名大系 「山ノ上町」の解説

山ノ上町
やまのうえまち

[現在地名]金沢市山の上町・森山もりやま一―二丁目

卯辰うたつ山北麓、高道たかみち町の北東に続く北陸街道の両側町で地子町。山上やまのえ町とも称した(幕末「金沢町名尽」金沢市立図書館蔵)。天保町絵図では南より順に一丁目から四丁目まであるが、もとは一―四丁目に分れておらず、南西の上田うえだ町・森山町域も含んでいた。一―三丁目の西は上田町、四丁目の西は同心どうしん町、一―三丁目の東は寺社群、四丁目の東は山下やました町。寺社は南から心蓮しんれん社・光覚こうかく寺・善導ぜんどう寺の順に並び、光覚寺を除いてほかはすべて門前地をもつ。寺地が多く、元和元年(一六一五)の心蓮社鐘銘(金沢古蹟志)には「山上寺町」とある。東の山上やまのうえ村域に春日社(現小坂神社)があり、文化八年(一八一一)の金沢町絵図名帳には春日社の入口に鳥居が、付近西側に一里塚がみえる。春日社までの参道沿いは門前地とされ、文政六年(一八二三)町奉行より出候町名に「春日社門前」とみえ、通りの長さは約一町五〇間(皇国地誌)

当町の通りの長さは一丁目が約一町一二間、二丁目が約五二間、三丁目が約四五間、四丁目が約一町(同書)


山ノ上町
やまのうえちよう

[現在地名]函館市弥生町やよいちよう

山の上町・山上町とも記す。「蝦夷日誌」(一編)が「山の上」は東を法華寺(実行寺)、西は神明社、北はうら(大黒町)の坂を限りとする「此処の惣名也」とし、「箱館夜話草」には「山ノ上町といふは惣じて神明宮の通りより芝居町此辺までをさいていふ処なり」とあるように、元来は箱館町の表通り(弁天町・大町の通り)の上手(山手)、函館山北東面の小高い山裾一帯に開けた新開地をいった。「東蝦夷地道中記」は箱館の八町の一として「山ノ上町」をあげ、「裏町、山ノ上町ハ借家住居の者、手間取、職人等あり」と記す。「蝦夷島奇観」があげる箱館の一〇町のうちにも町名がみえる。


山ノ上町
やまのうえちよう

[現在地名]小樽市住吉町すみよしちよう入船いりふね一丁目

明治初年(同二年八月―同六年の間)より同三二年(一八九九)まで存続した町。永井ながい町の東にあたる。一八五七年(安政四年)山田兵蔵は私財を投じて一千余坪の地を開墾したという(小樽市史稿本)。六〇年代頃の旧図に山ノ上一丁目・山ノ上二丁目の書込みがみられた。また箱館奉行により医師佐藤玄悦が派遣されていた。明治二年頃に旅宿三・商家五ほどがあった(以上「小樽市史稿本」など)。同三年山ノ上町が置かれたという(状況報文)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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