登山を愛好する人々の団体。小は2、3人から、大は数千人規模のものまであり、また全国的なもの、地域的なもの、職場・学校などに限定されるもの、ハイキング中心のもの、岩登りが多いもの、ヒマラヤ登山中心のもの、女性だけのもの、中高年だけのものなどいろいろある。登山行動は個人では限界があるが、友人とともに行くことは楽しいし、かつ組織的行動により安全で、よりよい活動ができるところに山岳会の意義があるといえよう。
国際的にもっとも古いのが、1857年創立のイギリスのアルパイン・クラブThe Alpine Clubとよばれるもので、続いてイタリア、スイスが1863年、ドイツが1869年、フランスが1874年、オーストリアが1878年に組織された。アメリカでは1902年、日本では1905年(明治38)初めて山岳会(後の日本山岳会)が誕生している。いずれも会員相互の親交、登山の研究、機関誌の発行、登山隊の派遣などを行い、欧米では山小屋建設、ガイドの養成、遭難救助隊の結成などにも積極的な努力が行われている。
日本においては第二次世界大戦前までは、日本山岳会ほか少数の山岳団体および学校・職場の山岳団体が活躍していたが、第二次大戦後急速に地域の団体が増加し、また一般登山人口も急増して、山岳会などに属さない登山者も多くなった。また従来、大学山岳部を中心とする日本山岳会と、社会人の全日本山岳連盟に分かれていた二つの団体が協力し、1960年(昭和35)全国の都道府県別にその県内の多くの山岳団体を組織する形の山岳連盟を統合して「日本山岳協会(現、日本山岳・スポーツクライミング協会)」が形成され、指導員制度をつくるなど、登山の啓蒙(けいもう)指導とともに遭難防止などに努めることとなった。1990年(平成2)ごろからは、地域の山岳連盟などに属さない、主として中高年女性を中心とする友好団体が増加。また、ヨーロッパに例をとった職業ガイドが増えて日本アルパインガイド協会も設立され、登山教室を中心とするグループやヒマラヤトレッキングを行う旅行社募集の団体等、山岳会に属さないグループ登山も多くなるなど、多様化が進んだ半面で、事故もまた増加している。
[徳久球雄]
日本山岳協会は、2017年(平成29)4月に日本山岳・スポーツクライミング協会と名称変更をした。
[編集部 2020年3月18日]
登山を愛好する人々によって組織される団体。小は2~3人から数千人の大きなものまである。また全国的なもの,地域的なものがあり,その性格も,男性のみ,女性のみとか,職場,学校などに限定されるもの,ハイキング中心のもの,岩登りが多いもの,ヒマラヤ登山中心のものなどさまざまである。登山は個人では限界があり,また友人と行くことが楽しいので,組織的行動により,安全で,よりよい行動を行っていこうとするところに,山岳会を組織する意義があるといえよう。国際的にもっとも古いのが,1857年創立のイギリスの〈アルパイン・クラブThe Alpine Club〉で,続いてイタリア,スイスが63年,ドイツが69年,フランスが74年,オーストリアが78年などに組織され,アメリカでは1902年に創立された。日本では05年日本山岳会(当初はイギリスのアルパイン・クラブにならって単に山岳会といった。1906年に機関紙《山岳》を刊行)が誕生している。その創立には,日本近代登山の父といわれるW.ウェストンの熱心な支援があった。いずれの国の山岳会も会員相互の親交,登山の研究,機関誌の発行,登山隊の派遣などを行い,欧米では山小屋建設,山案内人の養成,遭難救助隊の結成などにも積極的な努力が行われている。日本では第2次世界大戦前までは,日本山岳会ほか少数の山岳団体および学校,職場の山岳団体が活躍していたが,戦後,急速に地域の団体が増加し,また一般登山人口も急増して,山岳会員以外の登山者も多くなった。60年,県内の多くの山岳団体を組織している,各都道府県の山岳連盟(協会の名称もある)を加盟団体とするかたちで〈日本山岳協会〉が結成され,また指導員制度も設定されるなど,登山の指導とともに遭難防止などへ積極的に尽くしている。
執筆者:徳久 球雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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