ウェストン(読み)うぇすとん(英語表記)Walter Weston

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウェストン」の意味・わかりやすい解説

ウェストン(Walter Weston)
うぇすとん
Walter Weston
(1861―1940)

イギリス人牧師。日本近代登山の父といわれる登山家。ケンブリッジ大学を卒業。1889~94年、1902~05年、1911~15年の3回、神戸と横浜に牧師として滞在中に、日本アルプス富士山、それに九州などの山々に登り、1896年『日本アルプス・登山と探検』をロンドンのJ・マレー社から発行、日本アルプスの名を世界に広めた。また小島烏水(うすい)らと日本山岳会結成のために尽くし、1910年(明治43)日本山岳会最初の名誉会員となる。17年イギリス王立地学協会からも日本アルプス開拓の功によりバック・グランド賞を受賞。イギリス山岳会会員。著書はほかに『極東の遊歩場』『Japan』などがある。37年北アルプス上高地の梓(あずさ)川畔にレリーフがたてられ、第二次世界大戦後は毎年6月の第1日曜日に「ウェストン祭」が行われる。

[徳久球雄]

『岡村精一訳『極東の遊歩道』(1984・山と渓谷社)』


ウェストン(Edward Weston、写真家)
うぇすとん
Edward Weston
(1886―1958)

アメリカの写真家。大型カメラによる精緻(せいち)で即物的な描写を通じて、造形的かつ抽象的に事物の実在感を表現し、近代写真に多大の影響を残した。イリノイハイランドパークに生まれる。18歳でカリフォルニアに移り写真を始め、初期には軟調なポートレートを撮っていたが30歳代にのちに知られる作風に移行した。1922年から3年間メキシコに住み、リベラやシケイロスらの国民的芸術家に接し、精神面での影響を受け、極限まで精密に写す作風を確立した。32年にはポール・ストランドやアンセル・アダムズらと「f/64」グループを結成、「ストレート・フォト」(純粋写真)の究明を目ざした。代表作に、30年代の野菜や貝殻をモチーフとしたもの、その後の一連ヌードカリフォルニア州のポイント・ロボス海岸や「死の谷」の砂漠で撮った自然の形象をテーマにしたシリーズなどがある。

[平木 収]


ウェストン(Edward Weston、発明家)
うぇすとん
Edward Weston
(1850―1936)

アメリカの発明家。イングランド西部のシュロップシャーに生まれ、医学を修め、1870年アメリカに渡った。物理学や化学への興味から、ニッケルめっきの会社に入り、そこでめっき用電源としてダイナモを利用することを思い付き、独立して会社を設立し、発電機の改良を手がけた。電流測定用に安定度の高いカドミウム電池を開発した。これはウェストン標準電池として広く知られている。

[高橋智子]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウェストン」の意味・わかりやすい解説

ウェストン
Weston, (Reverend) Walter

[生]1861.12.25.
[没]1940.3.27.
イギリスの登山家。キリスト教会宣教師。明治 20年代 (1887~96) からイギリス教会牧師として数度にわたり来日。北アルプス,南アルプスなど高山を探検登山し,スポーツ登山を指導,日本近代登山の父といわれた。帰国後 1896年,『日本アルプスの登山と探検』 Mountaineering and Exploration in the Japanese Alpsをロンドンで刊行,日本山岳の美を紹介した。また日本山岳会の設立 (1905) にも多大な貢献をした。

ウェストン
Weston, Edward

[生]1886.3.24. イリノイ,ハイランドパーク
[没]1958.1.1. カリフォルニア,カーメル
アメリカの写真家。 18歳からカリフォルニアで写真館を経営。 1923年メキシコを旅行し,画家リベラらと交わる。 27年帰国,カリフォルニアの自然を写し,その生命感にあふれたリアリズムと単純明快な物の形態把握によって,近代写真に新生面を開いた。 37年以後グッゲンハイム財団の援助を得て,アメリカ西部を撮影旅行。 46年ニューヨーク近代美術館で個展を開いた。

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