山田猪三郎(読み)やまだいさぶろう

改訂新版 世界大百科事典 「山田猪三郎」の意味・わかりやすい解説

山田猪三郎 (やまだいさぶろう)
生没年:1863-1913(文久3-大正2)

日本の気球飛行船民間先駆者和歌山県の生れ。1900年係留式気球(山田式気球)の特許を得,04年の日露戦争ではこの気球2個が旅順の偵察用に使われた。その後飛行船の開発を志し,10年には国産初の山田式第1号飛行船を製作翌年第2号を完成したがまだ不完全であった。同年完成の第3号は東京上空で20kmの周回飛行に成功,また彼の製作した気囊を用いて徳永熊雄,小浜方彦らが完成させたイ号飛行船も33km,1時間40分の飛行に成功した。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

20世紀日本人名事典 「山田猪三郎」の解説

山田 猪三郎
ヤマダ イサブロウ

明治期の飛行船発明家



生年
元治1年(1864年)

没年
大正2(1913)年4月8日

出生地
紀伊国和歌山(和歌山県和歌山市)

経歴
明治33年軽気球を発明し、“日本気球”と称す。36年東京・高輪陸軍と協力して繫留気球を開発、この気球は日露戦争でも利用され重要な戦果を収めた。さらに気球に発動機を付し航空を試み成功した。38年東京・大崎に気球製作所を設立、“日本式気囊”を製作し特許を得た。以後、陸軍使用の飛行船を数多く手がけ、45年には東京湾上での飛行に成功した。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

朝日日本歴史人物事典 「山田猪三郎」の解説

山田猪三郎

没年:大正2.4.8(1913)
生年:元治1(1864)
明治期の飛行気球開発者。和歌山に生まれる。明治33(1900)年に軽気球を発明し,「日本式気球」と称し,36年には東京高輪で陸軍と協力して繋留気球を開発,この繋留気球は翌年から始まった日露戦争の旅順要塞の攻撃に際して利用された。42年には気球に推進器を付けて「山田式空中安全飛行機」と称し,東京大崎に気球製作所を設立した。45年には東京湾上を飛行することに成功した。

(村上陽一郎)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「山田猪三郎」の解説

山田猪三郎 やまだ-いさぶろう

1864-1913 明治時代の発明家。
元治(げんじ)元年生まれ。明治36年係留式気球を開発し,日露戦争で旅順偵察に使用される。のち気球にエンジンをつけた飛行船を考案し,43年初飛行に成功した。大正2年4月8日死去。50歳。紀伊(きい)和歌山出身。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の山田猪三郎の言及

【アドバルーン】より

…日本で生まれた広告媒体で,名前もad(広告)とballoon(気球)を組み合わせた日本製の造語。日本における気球の実用化は,明治時代に山田猪三郎によって行われ,軍事偵察,高層気象観測,広告などに使われた。1913年には中山太陽堂,次いでレート化粧品が広告に利用している。…

【航空】より


[日本における発達]
 日本の航空活動は欧米諸国より遅れてスタートし,1910年,徳川好敏(1884‐1963),日野熊蔵(1878‐1946)が,それぞれフランスとドイツから輸入した飛行機で初飛行したのに始まる。一方では,同年山田猪三郎製作の飛行船が初飛行し,11年奈良原三次製作の飛行機が初飛行するなどの活躍もあったが,その技術水準は欧米に及ばず,結局は先進国からの技術導入,ライセンス生産によって,日本の航空工業は始まった。このような状態を続けている間にしだいに独自の技術が育成され,35年ころには陸海軍の各種の軍用機で,欧米の水準に劣らぬ性能をもち,しかも操縦性が優れているなど,日本独特の長所をもった国産機が次々に出現した。…

【飛行船】より

…アメリカでは浮揚ガスとしては危険な水素の代りに自国でのみ産出するヘリウムを用いたのが特徴であった。 日本では1910年,山田猪三郎が作った国産初の軟式飛行船が野外飛行に成功し,その後も輸入,国産の軟式飛行船および半硬式飛行船が軍で使用されたものの,本格的な発達はみずに終わった。 公共輸送機関としての飛行船の活躍は,主として悪天候によるいくつかの事故が続いた後,37年アメリカのニュージャージー州のレークハーストで起こったLZ129(ヒンデンブルク号)の爆発炎上事故で事実上そのとどめを刺された。…

※「山田猪三郎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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