ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「岡田節人」の意味・わかりやすい解説
岡田節人
おかだときんど
[没]2017.1.17. 京都,京都
発生生物学者。1950年京都大学理学部卒業,1957~59年イギリスのエディンバラ大学動物遺伝学研究所に留学し,1959年京都大学で理学博士号を取得。1967年京都大学理学部動物学科教授,1971年同大学生物物理学科教授に就任。1981~85年国際発生生物学会会長,1984~89年岡崎国立共同研究機構基礎生物学研究所所長,1993~2002年 JT生命誌研究館館長を歴任した。両生類の消化管や腎臓発生の組織学的な研究に従事し,のち世界で初めてニワトリ胚の水晶体の培養に成功,網膜から水晶体への分化転換を証明し細胞の多能性を発見した。発生学普及のため,テレビ出演のほか,『細胞の社会』(1972),『からだの設計図』(1994),『生物学個人授業』(1996)などの啓蒙書を出版。クラシック音楽にも造詣が深く,『アルマ・マーラーに恋した生物学者――生命の響き』(2000)を著し,京都市音楽芸術文化振興財団理事長を務めた。1984年京都大学名誉教授。1989年国際発生生物学会ハリソン賞を受賞,1995年文化功労者に選ばれた。1999年勲二等旭日重光章,2007年文化勲章を受章した。
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