文化功労者(読み)ぶんかこうろうしゃ

精選版 日本国語大辞典 「文化功労者」の意味・読み・例文・類語

ぶんか‐こうろうしゃ ブンクヮコウラウシャ【文化功労者】

〘名〙 学問、芸術上の業績を通じて、特に日本の文化の向上発達に関し功績が著しいと政府が認めた人。毎年文化の日に先立ち、選考委員会が選んだ中から文部科学大臣もと文部大臣)が決定文化勲章受章者を含み、顕彰のため文化功労者年金法による年金が終身贈られる。〔憲法講話(1967)〈宮沢俊義〉〕

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デジタル大辞泉 「文化功労者」の意味・読み・例文・類語

ぶんか‐こうろうしゃ〔ブンクワコウラウシヤ〕【文化功労者】

学問・芸術上の業績を通じて文化の向上・発展に大きく貢献したと政府が認めた者を顕彰する制度。終身年金が支給される。昭和26年(1951)に文化功労者年金法により創設された。毎年1回、選考審議会が選んだ中から文部科学大臣が決定する。→文化勲章

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百科事典マイペディア 「文化功労者」の意味・わかりやすい解説

文化功労者【ぶんかこうろうしゃ】

文化功労者年金法(1951年)に定める文化の向上発達に関して特に功績顕著な者をいう。毎年文化の日に先立って発表され,定員はないが10人が例で終身年金350万円が支給される。→文化勲章
→関連項目阿川弘之芦原義信有沢広巳伊藤清上村松篁桂米朝河北倫明河竹登志夫金田一春彦斎藤真末永雅雄高野悦子多田富雄団伊玖磨外村彰花房秀三郎村上三島横道万里雄淀井敏夫

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「文化功労者」の意味・わかりやすい解説

文化功労者
ぶんかこうろうしゃ

文化功労者年金法(昭和26年法律第125号)に定めるもので、文化の向上発達に関しとくに功績顕著な者をいう。1951年(昭和26)から毎年選出されている。文化功労者は、文化に関し高い識見を有する委員30人(任期1年)で構成する文化審議会が選考した者のうちから、毎年15人(当初は10人)を文化の日に文部科学大臣が決定している。文化功労者にはその功績の顕彰を目的として終身年金(2010年時点で350万円)が支給される。

 文化の発達に関し勲績卓絶な者に授与される文化勲章は、普通の勲章と同様にいかなる特権をも伴わない精神的な優遇であるのに対し、文化功労者年金法は、文化功労者の物質的な優遇を図るために制定されたものである。前者が主として独創的、画期的な学術、芸術上の功労を対象としているのに対し、後者はさらに広い分野の功労をも対象としている。文化勲章受章者は原則として文化功労者のうちから選ばれている。

[篠田幸雄]

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知恵蔵 「文化功労者」の解説

文化功労者

文化の向上や発達に関して、特に功績のあった人が選定される。文化勲章に次ぐ栄誉とされており、文化功労者になると、年額350万円の終身年金が支給される。毎年15人ほどが選ばれている。
文化功労者は、1951年に制定された文化功労者年金法に基づき、大学教授や作家らで構成される文化審議会文化功労者選考分科会が選考した中から、文部科学大臣が選ぶことになっている。毎年11月3日の文化の日に、文化勲章の受章者とともに発令され、後日、顕彰式も行われる。第1回の文化功労者は、小説家の志賀直哉物理学者湯川秀樹など34人。
文化功労者は近年、幅広い分野から選ばれており、芸術や学問だけでなく、スポーツ、映画の分野からも選出されている。最近では、2004年には映画監督の山田洋次、05年に元プロ野球選手の長嶋茂雄、06年には俳優の高倉健がそれぞれ文化功労者となった。
09年度の文化功労者は、元横綱大鵬の納谷幸喜、小説家の宮尾登美子、フラメンコ舞踊の小島章司ら15人。
なお、文化勲章の受章者は、文化功労者の中から選ばれるしくみになっている。

(高野朋美  フリーライター / 2009年)

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改訂新版 世界大百科事典 「文化功労者」の意味・わかりやすい解説

文化功労者 (ぶんかこうろうしゃ)

文化の向上発展に関して,とくに功績顕著な者が選ばれ,終身年金が支給される。1937年に制定された文化勲章令は,日本国憲法14条〈栄誉,勲章その他の栄典の授与は,いかなる特権も伴はない〉という条文との関係上,文化勲章受章者への年金支給を不可能にしていた。このため51年文化功労者年金法を公布し,文化勲章受章者を含み,それよりやや範囲を広げて文化功労者を選考することになった。選考審査会は,文部大臣に任命された文化に関する高い識見を有する者10人によって組織される。年金額は,当初50万円,1984年現在350万円である。84年現在,文化功労者は369人。
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勲章・褒章がわかる事典 「文化功労者」の解説

ぶんかこうろうしゃ【文化功労者】

文化の向上発展にとくに功績顕著な人をさす。1951年(昭和26)に制定された文化功労者年金法に定めがある。日本国憲法は栄典の授与による一切の特権を認めておらず、文化勲章も例外ではなかった。そこで、文化功労者年金法を制定し、文化勲章受章者をすべて文化功労者でもあるように運用することで、終身年金の道をつくった。1979年以降は、文化勲章は前年度までの文化功労者のなかから選ばれている。文化功労者は文化勲章より範囲を広げて選ぶことになっており、文部科学大臣が選考を文化審議会に諮問し、最近は毎年15名ほどを文部科学大臣が決定している。年金は終身で、文化功労者年金法施行令で額を決めている。現在の額は1982年の政令改正から変わらず、年350万円である。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「文化功労者」の意味・わかりやすい解説

文化功労者
ぶんかこうろうしゃ

文化功労者年金法 (昭和 26年法律 125号) に定められた,文化の向上発達について特に功績の顕著な者。文化審議会 (文部科学大臣諮問機関) が選考した候補者のうちから,文部科学大臣が決定し,政令で定める額の終身年金が支給される。文化勲章受章者は,原則として文化功労者に選ばれる。制度的に両者を分けたのは憲法 14条3項に「栄誉,勲章その他の栄典の授与は,いかなる特権も伴はない」との規定があるためである。文化功労者年金には所得税が課せられない (所得税法) 。

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世界大百科事典(旧版)内の文化功労者の言及

【文化勲章】より

…他の勲章のような等級はなく,称号とも結びつかず,年金もともなわない。しかし51年に文化功労者年金法ができてからは,文化勲章受章者は同時に文化功労者として文化功労年金を受けるのが例になっている。勲章は橘(たちばな)の花をかたどった清楚な様式である。…

※「文化功労者」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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