花鳥余情(読み)カチョウヨジョウ

デジタル大辞泉 「花鳥余情」の意味・読み・例文・類語

かちょうよじょう〔クワテウヨジヤウ〕【花鳥余情】

室町時代源氏物語注釈書。30巻。一条兼良いちじょうかねら著。文明4年(1472)成立。「河海抄」を補正したもので、文意理解重点をおく。かちょうよせい。

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精選版 日本国語大辞典 「花鳥余情」の意味・読み・例文・類語

かちょうよせいクヮテウ‥【花鳥余情】

  1. ( 「かちょうよじょう」とも ) 「源氏物語」の注釈書。三〇巻。一条兼良著。文明四年(一四七二)成立、明応六年(一四九七再訂。「河海抄」を補正したもので、文章解釈作品鑑賞に重点を置く。「河海抄」とともに、後世研究に大きな影響を与えた。

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改訂新版 世界大百科事典 「花鳥余情」の意味・わかりやすい解説

花鳥余情 (かちょうよじょう)

室町時代の《源氏物語》注釈。30巻。著者一条兼良(かねら)。1472年(文明4)に成る。古くは〈かちょうよせい〉とも呼ばれた。四辻善成の《河海抄(かかいしよう)》のあとをうけて,その遺漏補い,誤りを正すことを意図した書。《源氏物語》のみならず広く和漢の学に通じ,当代一の学者であった兼良の学識を反映した著作であるが,《河海抄》が出典準拠など考証を主としているのに対し,本書は煩瑣な考証は控え,《源氏物語》の本文に即した文意,歌意の説明,文脈の解明に重きを置く。なお,兼良には《源氏物語》に関する著作として,ほかに《源氏和秘抄》《源氏物語年立(としだて)》《源語秘訣》がある。
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百科事典マイペディア 「花鳥余情」の意味・わかりやすい解説

花鳥余情【かちょうよじょう】

室町時代の《源氏物語》注釈。〈かちょうよせい〉とも。30巻。一条兼良(かねら)著。1472年成立。序に,先行の《源氏物語》注釈《河海抄》の不足を補い誤りを正すために著した,とある。本文に即した文意・歌意の説明,文脈の解明に意を用いている。著者の兼良は関白をつとめた公卿であり,それだけに有職故実については出色の内容となっている。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「花鳥余情」の解説

花鳥余情
かちょうよせい

「かちょうよじょう」とも。室町時代の代表的な「源氏物語」注釈書。30巻。一条兼良著。1472年(文明4)初稿成立。序文でみずから「河海抄」の跡を追い,「残れるをひろひ,あやまりをあらたむる」という。伝本の系統に,76年大内政弘の求めに応じた宮内庁蔵の再稿本,78年後土御門(ごつちみかど)天皇の求めに応じた竜門文庫蔵の献上本がある。出典考証,典拠を重んじた前代までの注釈と異なり,むしろ文脈の理解に重点がおかれる。同じ著者に秘説15条をまとめた「源語秘訣」がある。「国文註釈全書」,松永本「源氏物語古注集成」所収。

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旺文社日本史事典 三訂版 「花鳥余情」の解説

花鳥余情
かちょうよじょう

室町中期,一条兼良の『源氏物語』注釈書
「かちょうよせい」とも読む。1472年刊。30巻。『河海抄』の誤りを正し,文意の注解に重点をおいた。『源氏物語』をわが国の至宝とたたえ,尊重している。

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世界大百科事典(旧版)内の花鳥余情の言及

【源氏物語】より

…四辻善成(よつつじよしなり)(1326‐1402)の《河海(かかい)抄》は博引旁証,注釈の基礎を築いた。室町時代には,一条兼良の《花鳥余情》は鑑賞や語法面に新機軸を開き,宗祇およびその周辺の連歌師たちもそれぞれ業績を残している。三条西実隆はこのころの代表的な文化人であるが,肖柏の講釈をまとめた《弄花(ろうか)抄》のほか,《細流(さいりゆう)抄》《源氏物語系図》(いわゆる新系図)を作った。…

※「花鳥余情」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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