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広帯域通信網 こうたいいきつうしんもう

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ASCII.jpデジタル用語辞典の解説

広帯域通信網

B-ISDNなどの広帯域サービスを提供するネットワークのこと。一般的に、ATM交換システムを用いてネットワークの基幹回線を構築したものを指す。伝送量が100Mbps程度の高速な通信ができるので、主にテレビ会議システムストリーミングビデオオンデマンドなど、大容量のデータが必要となるサービスで利用される。

出典|ASCII.jpデジタル用語辞典
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

広帯域通信網
こうたいいきつうしんもう
broadband network

公衆通信網において、映像伝送、データ通信などを目的として使用される高速デジタル通信網。従来の音声情報を伝達する通信網(電話網)に対して、主として映像情報、高速データ信号等の広帯域(あるいは高速度)の情報を扱う。[高橋勝巳]

沿革

社会の情報化の進展に伴い、電気通信の分野においてはデータ通信、ファクシミリ通信、映像通信等のいわゆる非電話系のサービス需要が増大していった。とくに、映像通信等の視聴覚通信は、電話に代表される聴覚通信と比較して、情報伝達能力が豊富であることから、映像情報をより安く、しかも便利に使いやすい形で提供する通信網の出現が強く求められたのである。一方、これら映像信号の伝送には、音声信号の伝送と比較して約1000倍もの信号帯域を必要とすることから、本来音声伝送に適したアナログをベースとした電話網によって伝送を行うことは経済性、品質の面で難点があった。しかし、飛躍的進歩を遂げたLSI(大規模集積回路)、情報処理等のエレクトロニクス技術や広帯域情報を経済的に伝送しうる光ファイバーケーブル伝送方式、衛星通信方式等の実用化を背景に、既存の通信網の限界を克服するデジタル技術をベースとする通信網の構築が可能になったのである。[高橋勝巳]
 従来の加入電話は主として音声の伝送を目的として建設されてきた。CATVの出現以降もしばらくは、映像伝送のような高速回線は、送信局から加入者側に対して一方向に伝送する下り回線だけがあればよく、加入者側からの上りの高速回線は必要とされなかった。しかし、1995年(平成7)ごろからインターネットや携帯電話が爆発的に普及し、電子メール、静止画、動画など、上り方向および加入者間の高速デジタル通信の需要が急激に生じてきた。[石島 巖]

工学的進歩

理論上、モデムを使用して信号を伝送するためには、信号周波数の高低に対応して2倍以上の周波数帯幅を占有する。最高周波数が10キロヘルツ程度の音声信号に比べて、テレビジョンのような動画映像信号では地上アナログ放送程度の水準の画像でも6メガヘルツを超える最高周波数になるので、1000倍もの周波数帯幅を必要とするのである。しかし実際のデジタル伝送には、(1)MSK(minimum shift keying)方式のように帯域の広がりを極力抑制する方式、(2)多相PSK(phase shift keying)方式のようにわずかな位相偏移が多数ビットの二進数符号に対応するような方式、(3)伝送情報に変化のある部分のビットだけを伝送するRZ(return to zero)符号、NRZ(non-return to zero)符号などの符号構成法があり、信号周波数が高くなっても伝送に必要な毎秒のビット数(必要周波数帯幅)が直線的に増加するわけではない。このような技術の進歩を考慮しても、音声よりも静止画、さらにテレビジョン、ハイビジョンへと、必要な周波数帯幅が広くなっていくことは避けられない。
 広い必要周波数帯幅を確保するには、搬送周波数を高く設定する必要があるため、多重化された主要通信幹線の搬送周波数は、1960年代の末にマイクロ波の領域まで到達した。1990年代の後半には、マイクロ波の領域を超えて光の領域の波長(近赤外領域で赤色にきわめて近接した波長)まで達し、その伝送媒体もグラスファイバー製の光ケーブルになったのである。
 1992年に国際電気通信連合(ITU)は改革を行い、ITU-T(ITUの電気通信標準化部門、旧CCITT=国際電信電話諮問委員会)において、電話、ファクシミリ、データ通信、画像通信などの通信サービスのすべてをデジタル通信に統合する総合サービスとして、ISDN(統合サービスデジタル網、総務省関係の文書表記ではサービス統合ディジタル網)という毎秒144キロビットの高速通信網を標準化することを勧告した。ISDNでは、電話、ファクシミリ、パソコンなどの通信を、まとめて1回線ですべて接続可能であり、構内交換機に接続すればマルチメディア通信網が容易に構築できると期待されていた。INS(Information Network System)は、NTT(日本電信電話株式会社)が提供するISDNサービスの商品名であり、開始された当初は毎秒64キロビットの回線交換サービスを「INSネット64」と称した。しかし早くも1995年ごろには、これではまにあわないことがわかり、N-ISDN、B-ISDNという、さらに広域の通信回線を次々に登場させた。N-ISDNは毎秒1.5メガビットまでのデジタル伝送が可能であり、日本では「INSネット1500」がこれに対応している。また、B-ISDNには毎秒156メガビットと毎秒622メガビットまでの2種類があり、パケット交換網を利用する「INS-P」が対応する。
 INSネットサービスの特徴は、経済的なデジタル公衆網が、ダイヤル即時に高速・高品質で行える点であるが、それのみならずインターネット、電子メール、高速・高細密なファクシミリ通信、準動画通信、動画映像通信、高速データ通信などを、1本の回線で同時に接続できることにある。ISDNは優れた広帯域性をもつばかりでなく、情報チャネルと制御信号チャネル(signaling channel)が分離しているために通信中にも自在に制御信号を交換でき、これがマルチメディア通信とよばれる所以(ゆえん)である。この性質を利用して、通話中着信通知、通信中機器移動などのサービスも可能となる。[石島 巖]

各国の状況

日本では、NTTと地域系の第1種通信事業者が1995年度から光ファイバーケーブルを一般の各家庭に引き始めた。一方、アメリカや韓国においては、従来の銅線の電話回線を利用しながら広帯域の伝送を確保する新しい技術ADSLが、電話局またはプロバイダーと利用者の端局の間で使用されるようになった。これは、上り回線と下り回線の通信速度を非対称にして高速度の通信を行うという技術である。ISDNを重視する日本の行き方とは異なる方向であったが、回線の敷設が容易であり、当面、利用料金も低廉であるという大きな魅力があるため、とくに韓国ではインターネットの普及に大きく貢献した。このような情勢に対応して、NTTでも2000年(平成12)9月に急遽(きゅうきょ)実験を終了し、同年12月にはADSLの本格的なサービスに入った。ADSLは、従来の電話加入者線に使用されているツイスト銅線を利用して、当時は毎秒1.5メガビットまたは毎秒8メガビット、毎秒12メガビットの広帯域(ブロードバンド)をカバーした。2011年には下り回線毎秒12メガビット、上り回線毎秒1メガビットのシステムと、下り回線毎秒50メガビット、上り回線毎秒3メガビットのシステムが運用されている。あまり長距離では回線品質が維持できない。電話局やプロバイダーから2キロメートル以内が設置可能の限界であり、すでにISDNが敷設されている場合にも導入はできない。漏話や近接線路との干渉も避けられないが、施設費、使用料金が安価なことが魅力であり、インターネット接続のADSL回線は、2010年代に入って以降も増加を続けている。ちなみに、日本の光ファイバー回線の普及率は、2007年には27.2%に達し、ADSLの普及率とほぼ拮抗(きっこう)した。2010年度末の普及率は35%であり、NTTは2015年にはブロードバンド回線が100%に到達することを目ざしている。[石島 巖]

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