ISDN(読み)あいえすでぃーえぬ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ISDN」の意味・わかりやすい解説

ISDN
あいえすでぃーえぬ

サービス総合デジタル網integrated service digital networkの略称。統合デジタル通信網、総合サービスデジタル網などの訳もある。デジタル技術によって大容量伝送を可能にしたネットワークのことで、電話、データ通信、ファクシミリなど、従来はばらばらに建設されていた電気通信網を、光ファイバーケーブル通信衛星を用いて統合し、顧客に提供するシステム。1980年に国際電気通信連合ITU)の前身の国際電信電話諮問委員会(CCITT)が提唱した国際的な共通規格である。

 日本電信電話会社(NTT)でも、高度情報通信システムINS)の一環として1988年(昭和63)よりサービスを開始している。1988年に開始されたのはINSネット64伝送速度毎秒64キロビット×2)で、翌1989年(平成1)からはINSネット1500(毎秒1.5メガビット)のサービスが始まった。伝送速度が最大毎秒1.5メガビットで、アメリカ、イギリスと接続した国際ISDNサービスも行われている。これらは、N-ISDN(狭帯域ISDN)ともよぶ。さらに、毎秒155メガビットの広帯域のW-ISDN(広帯域ISDN)が開発されてはいるが、まだ実用化されていない。

 N-ISDNは中小企業中心に普及したものの、21世紀になるとインターネットにおされて解約者が増えてきている。2010年(平成22)に固定電話網の基幹部分をIP方式に切りかえたNTTグループは、光ファイバーによる広帯域型のサービスに移行し、N-ISDNによるサービスは交換機寿命を迎える2025年ごろには停止する予定。

[岩田倫典]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ISDN」の意味・わかりやすい解説

ISDN
アイエスディーエヌ
integrated services digital network

従来別個のネットワークで提供されてきた,電話,ファクシミリインターネット接続などのサービスを統合して提供するデジタル統合サービス網。通常の電話線(銅線)を用いる。日本では日本電信電話 NTTが 1988年4月から「INSネット64」を,1989年6月から「INSネット1500」を提供。「INSネット64」は通信速度 64kbps(キロビット毎秒)の回線を 2回線同時に使用できる。国際ISDNについてはケイディディ KDDが 1989年6月からサービスを開始した。さらに高速の通信が可能な広帯域ISDNの開発が進められた。1990年には INSパケットのサービスが開始された。2000年代に入りブロードバンド環境が整備されると加入者数は減少し,NTTは 2025年をめどに既存電話網の廃止に伴う ISDNサービスの廃止を決定した。

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