日本大百科全書(ニッポニカ) 「広瀬量平」の意味・わかりやすい解説
広瀬量平
ひろせりょうへい
(1930―2008)
作曲家。函館(はこだて)生まれ。北海道大学を卒業したのち東京芸術大学作曲科に入学、1958年(昭和33)同大学卒業。池内友次郎(いけのうちともじろう)(1906―91)、矢代(やしろ)秋雄(1929―76)らに師事。柴田南雄(しばたみなお)、入野義朗(いりのよしろう)を通して十二音技法を学ぶ。2面の箏(そう)、三絃(さんげん)、尺八、チェロのための『トルソ』(1963)、尺八3本と弦楽器群のための『霹(へき)』(1964)を皮切りに、邦楽器の可能性を探究する作品を発表し、現代邦楽の隆盛に先鞭(せんべん)をつける。チェロ協奏曲『トリステ』(1971)には邦楽器のための作品にみられる音色感が反映されている。70年代以降は、日本の伝統音楽にとどまらず、広くアジアの民族音楽や古代の楽器に注目した作品を書く。『天藾(てんらい)地響』(1976)には、尺八のほかアジアの打楽器群、石笛、土笛が使われ、『クリマ』(1976)、『カラヴィンカ』(1978)などのオーケストラ作品ではアジア的なイメージが表現されている。京都市立芸術大学教授、日本現代音楽協会委員長等を経て、京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センター設立に参画、2000年(平成12)の同センター開設より所長を務める。『尺八とオーケストラのための協奏曲』(1976)で第25回尾高賞を受賞。1997年紫綬(しじゅ)褒章を受章。
[楢崎洋子]
『広瀬量平著『CD+絵本+解説書 うたのすきな小鳥になろう』(1992・ラボ教育センター)』