広田憲寛(読み)ひろた・けんかん

朝日日本歴史人物事典 「広田憲寛」の解説

広田憲寛

没年:明治21.9.9(1888)
生年:文政1.6.10(1818.7.12)
幕末明治期の蘭学者,教育者。幼名は吉之助,名は敬次郎,通称文吉,儀太夫,号は九鱗。越前大野藩(大野市)藩士の家に生まれ,藩命で西洋砲術修業のため佐久間象山 の門に入る。のち帰藩して藩営の洋学館で伊藤慎蔵蘭学を学び,慎蔵の蘭書翻訳手伝,同館句読師手伝を経て,のち講釈を担当。辞書『訳鍵』を増補改正し,大部な『和蘭字彙』をもとにハンディな蘭日辞典『増補改正訳鍵』全5巻(1857~60)を刊行した。明治3(1870)年権大属に任ぜられ,廃藩以後は戸長,小学校教員を勤めた。大野で没し,託縁寺に葬られた。<参考文献>石橋重吉『若越新文化』

(宗田一)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「広田憲寛」の解説

広田憲寛 ひろた-けんかん

1818-1888 江戸後期-明治時代の蘭学者。
文政元年6月10日生まれ。越前(えちぜん)(福井県)大野藩士。佐久間象山に砲術を,藩校明倫館で伊藤慎蔵(しんぞう)に蘭学をまなぶ。藤林普山の「訳鍵」をもとに蘭日辞書「増補改正訳鍵」を刊行。万延2年藩校教授となる。維新後,戸長,小学校教員などをつとめた。明治21年9月9日死去。71歳。通称は敬次郎,文吉,儀太夫。号は九鱗。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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