延暦僧録(読み)エンリャクソウロク

デジタル大辞泉 「延暦僧録」の意味・読み・例文・類語

えんりゃく‐そうろく【延暦僧録】

奈良時代伝記書。唐からの帰化僧思託したくの著。延暦7年(788)成立。日本最初の僧の伝記といわれるが、現存せず、宗性そうしょうの「日本高僧伝要文抄」などに一部が引用されている。

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精選版 日本国語大辞典 「延暦僧録」の意味・読み・例文・類語

えんりゃくそうろく【延暦僧録】

  1. 書名。一〇巻。鑑真とともに来朝、帰化した唐僧思託が延暦七年(七八八)に撰した。わが国最初の僧伝といわれるが、現在は散逸して、わずかに宗性の「日本高僧伝要文抄」などに伝えられている。

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改訂新版 世界大百科事典 「延暦僧録」の意味・わかりやすい解説

延暦僧録 (えんりゃくそうろく)

鑑真に従って来た唐僧思託の著した僧伝。788年(延暦7)の撰述で,本文5巻,目録1巻。日本最古の僧伝として,《続日本紀》に次ぐ奈良時代仏教史の重要文献。収録するところは,鑑真とその一派の高僧,慶俊・戒明らの智明僧のほか,聖徳太子・天智天皇・聖武天皇光明皇后・桓武天皇らの〈菩薩〉,藤原良継・藤原種継・石上宅嗣・淡海三船らの〈居士〉に及ぶ。完本は伝わらず,《日本高僧伝要文抄》《東大寺要録》《扶桑略記》等に逸文が引かれている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「延暦僧録」の意味・わかりやすい解説

延暦僧録
えんりゃくそうろく

日本最古の僧伝。撰者は唐僧思託。 10巻。延暦7 (788) 年の成立。高僧鑑真,道せんや聖徳太子,聖武天皇,光明皇后をはじめ,文室浄三,淡海三船など,僧俗の伝記を収録したもの。現在散逸し,わずかに『日本高僧伝要文抄』に逸文がある。

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世界大百科事典(旧版)内の延暦僧録の言及

【思託】より

…神護景雲年間(767‐770)西大寺の八角大塔のモデルを造った。その著に鑑真の行状を精記した《大和上鑑真伝》や《大唐伝戒師僧名記》,延暦年間(782‐806)に撰した《延暦僧録》があったが,今日逸文しか伝わっていない。763年(天平宝字7)5月に鑑真が遷化すると〈傷大和上伝灯逝日本〉の五言詩を作ったことが,淡海三船撰の《唐大和上東征伝》によって知られる。…

【日本高僧伝要文抄】より

…3冊ともに奥書があり,〈先賢の遺徳を偲び,後昆の修学を勧めんが為〉に編集書写された。巻一には婆羅門僧正(菩提僊那),弘法大師(空海)など9伝,巻二には伝教大師(最澄),慈覚大師(円仁)など天台宗の高僧伝7伝を,巻三には護命僧正,明詮(みようせん)伝などのほかに,今日完本の伝存しない《延暦僧録》巻一,二,五より,鑑真,道璿(どうせん),思託,聖徳太子,天智天皇,文室浄三(ふんやのきよみ),石上宅嗣(いそのかみのやかつぐ)など24人の僧俗の伝記を収録している。《元亨釈書》に先行する僧伝として著名で,宗性はこの《要文抄》からさらに要文を抽出して《日本高僧伝指示抄》1冊を作成し,検出の便をはかっている。…

※「延暦僧録」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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