引き違ふ(読み)ヒキタガウ

デジタル大辞泉 「引き違ふ」の意味・読み・例文・類語

ひき‐たが・う〔‐たがふ〕【引き違ふ】

[動ハ下二]
方向を変える。
「あやめ草―・へたる袂には昔を恋ふるぞかかりける」〈新古今哀傷
今までとはすっかり変える。
「うつし心をば―・へ、たとしへなくよろづ忘るるにも」〈紫式部日記
世間一般とは違う。常道から外れる。
「あまり―・へたる御事なり」〈少女
思っていることと違う。期待に反する。
「かく―・へかこち聞こえらるらむ」〈行幸

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精選版 日本国語大辞典 「引き違ふ」の意味・読み・例文・類語

ひき‐たが・う‥たがふ【引違】

  1. 〘 他動詞 ハ行下二段活用 〙 ( 「ひき」は接頭語 )
  2. 方向を変える。
    1. [初出の実例]「久しく程経て渡り給へるに、かたふたげて、ひきたがへ、ほかざまへとおぼさむは」(出典:源氏物語(1001‐14頃)帚木)
  3. それまでの傾向や、世間の常識とはかけ離れたことをする。うって変わったありさまにする。正反対にする。
    1. [初出の実例]「稀には、あながちにひきたがへ、心づくしなる事を、御心におぼしとどむる癖なむ、あやにくにて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)帚木)
  4. 予想、期待などを裏切る。予想と全くちがったありさまにする。
    1. [初出の実例]「世の中の人もさやうに思ひ寄りぬべきことなるを、ひきたがへ心清くてあつかひ聞えむ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)澪標)
  5. 約束などを破る。相手の心を裏切る。
    1. [初出の実例]「いたくふけてぞいで給へれど、なほこよひひきたかえんことはいといとほしきに」(出典:有明の別(12C後)二)

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