精選版 日本国語大辞典 「御事」の意味・読み・例文・類語
おん‐こと【御事】
[1] 〘名〙
① ある人を敬ってその人に関する事柄などをいう語。
※蜻蛉(974頃)下「『こはたがぞ、堀川殿の御ことにや』ととへば」
※源氏(1001‐14頃)葵「いとど皆泣きて、『いふかひなき御事は、ただ、かきくらす心地して侍れば〈略〉』」
④ 性行為、または性器をいう。
※談義本・当世穴噺(1771)三「二階から御事(コト)しまふて二人が下(おり)る音に」
※源氏(1001‐14頃)総角「御ことをのみこそあたらしく心苦しくかなしき物に思ひ聞ゆるを」
お‐こと【御事】
[1] 〘名〙 (「お」は接頭語)
※伏見上皇御中陰記(1317)「文保元年九月三日寅刻、法皇有二御事一」
③ 「おことはじめ(御事始)」または「おことおさめ(御事納)」の略。
[2] 〘代名〙 対称。一般に、相手に対して親愛の心をこめて呼ぶ語。男に対しても、女に対しても用いた。御身。そなた。
※平治(1220頃か)下「昨日までも御事ゆゑに心をくだきつるが、配所さだまりてながされ給ふべき也」
おおん‐こと おほん‥【御事】
〘代名〙 (「おおん」は接頭語。「おほむこと」とも表記) 対称。敬い親しんでいう。あなたさま。おこと。
※宇津保(970‐999頃)菊の宴「昔おほんことを思ひそめ」
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