彦山派(読み)ひこさんは

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改訂新版 世界大百科事典 「彦山派」の意味・わかりやすい解説

彦山派 (ひこさんは)

九州の彦山権現社霊仙寺(現在の福岡県英彦山(ひこさん)神宮)を本拠とした山伏集団による修験道の一派。中世以来九州全域に檀那を持ち,1696年(元禄9)に江戸幕府は〈天台修験別本山〉として公認した。沿革については北魏の僧善正と猟師による開創(継体25)と宇佐の法蓮による中興,役小角(役行者(えんのぎようじや))や寿元の開山,増慶(917-1006)による松会神事の創始などの伝承がある。1333年(元弘3)より後伏見天皇の皇子と伝える助有座主の血脈が一山を統轄して明治維新まで続いた。彦山派修験道の教学は日光から来山した阿吸房即伝により体系化され,1509年(永正6)以降,全国的に流布した。一山の宗教制度は室町時代から,衆徒方(台密系)による如法経会,惣方(神道系)による松会祈年祭,行者方による宣度祭(せどさい)(大先達誕生の儀礼)と峰入りが確立していた。彦山派山伏必修の行である峰入りは春峰(順峰)と夏峰(華供峰)が彦山から宝満山,秋峰(逆峰)は彦山から福智山を往復する厳しい修行であったが現在は廃絶している。
英彦山
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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