後の月(読み)のちのつき

精選版 日本国語大辞典 「後の月」の意味・読み・例文・類語

のち【後】 の 月(つき)

① 次の月。来月。翌月
陰暦八月十五夜の月に対して、九月十三夜の月。十三夜。栗名月。のちの名月。《季・秋》
※俳諧・沙金袋(1657)四「三五より四七過てや後の月〈一有〉」
閏月(うるうづき)をいう。〔俚言集覧(1797頃)〕

あと【後】 の 月(つき)

① 前の月。先月。あとげつ。
浄瑠璃曾根崎心中(1703)「あとの月のつごもりたった一日入こと有」
② 十三夜の月。陰暦九月一三日の夜の月。のちの月。
※俳諧・毛吹草追加(1647)中「跡の月見たよりおしき余波哉〈空存〉」

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デジタル大辞泉 「後の月」の意味・読み・例文・類語

のち‐の‐つき【後の月】

次の月。翌月。来月。
陰暦8月15日夜の月を初名月というのに対して、9月13日夜の名月。十三夜。豆名月くり名月。 秋》「―入りて顔よし星の空/鬼貫
閏月うるうづきのこと。
[類語]豆名月栗名月名残の月

あと‐の‐つき【後の月】

先月。あとげつ。

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「後の月」の解説

後の月
(通称)
のちのつき

歌舞伎・浄瑠璃の外題
元の外題
后の月名残島台 など
初演
文政6.9(江戸中村座)

出典 日外アソシエーツ「歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典」歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の後の月の言及

【季語】より

…秋霖(しゆうりん),秋雨(あきさめ)ともいう),秋渇(あきかわき)(秋になって食欲の増すこと),秋風,秋の暮,秋日和(あきびより)(秋晴れと同じ),朝顔,朝寒(あささむ)(朝に感じる秋の寒さ),蘆刈(あしかり)(晩秋に蘆を刈ること),天の川,秋深し(寂寥の伴う秋たけなわの候),十六夜(いざよい)(陰暦8月16日の夜,または同夜の月),色鳥(いろどり)(秋の小鳥),雨月,末枯(うらがれ)(晩秋,葉の先から草が枯れはじめること),案山子(かがし),柿,秋水(しゆうすい)(ひややかに澄む水),秋思(秋の寂しい思い),燕帰る,菊,砧(きぬた)打つ(木槌(きづち)で布を打ってやわらげる。かつて女の夜業であった),桐一葉(きりひとは)(秋の訪れを告げる桐の落葉),草市(くさいち)(盆用品を売る市),暮の秋(秋の終りのころ),木の実,鹿の声(交尾期の鹿の高く長い声),今朝(けさ)の秋(立秋の朝のさわやかな感じ),冷(すさ)まじ(寒いとまではいえない冷気の感じ),秋声(秋の物音),相撲(もとは豊凶を占う神事であった),施餓鬼(せがき)(無縁仏をとむらうこと),露,二百十日(台風襲来の厄日),後(のち)の月(陰暦9月13日の月。十三夜ともいう),野分(のわき)(秋の暴風),八朔(はつさく)(陰暦8月1日),初潮(はつしお)(陰暦8月15日の大潮),蛇穴に入る(秋の彼岸ごろに蛇は冬眠するという),花野(はなの)(秋草の咲き乱れた野),盆(正月と並ぶ一年の節目),踊(盆踊のこと),身に入(し)む(秋の冷気を心身で感じる),蓑虫(みのむし)鳴く(秋風が吹くと父を慕って泣くという),迎火,送火,灯籠,虫の声,名月(十五夜の月),紅葉,夜寒(よさむ)(晩秋の夜分に覚える寒さ),夜長(よなが)(秋の夜の長さ),渡り鳥,七夕(たなばた),夜なべ(秋の夜業),茸(きのこ),新酒(新米で醸造した酒),竜田姫(秋の女神),残暑(立秋後も残る暑さ),新涼(秋の涼しさ),星月夜(ほしづきよ)(星の光の明るい夜)。…

※「後の月」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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