十三夜(読み)ジュウサンヤ

デジタル大辞泉 「十三夜」の意味・読み・例文・類語

じゅうさん‐や〔ジフサン‐〕【十三夜】

陰暦13日の夜。
陰暦9月13日の夜。8月15日夜の十五夜に次いで月が美しいとされ、「のちの月」という。十五夜の月をいも名月というのに対し、豆名月栗名月ともいう。 秋》「泊る気でひとり来ませり―/蕪村
[補説]書名別項。→十三夜
[類語]月夜おぼろ月夜朧夜夕月夜星月夜雪月夜宵月夜薄月夜十五夜十六夜

じゅうさんや【十三夜】[書名]

樋口一葉小説。明治28年(1895)発表。不幸な結婚をしたお関を通し、封建的な社会矛盾女性立場から描く。

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精選版 日本国語大辞典 「十三夜」の意味・読み・例文・類語

じゅうさん‐やジフサン‥【十三夜】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 陰暦の毎月一三日の夜。
    2. 特に、陰暦九月一三日の夜。この夜は、八月十五夜の月に次いで月が美しいといわれ、「のちの月」と呼び、月見の宴を催して賞した。八月十五夜の月を芋名月と称するに対して、豆名月・栗名月という。延喜一九年(九一九)の醍醐天皇の月の宴に始まるとも、また、宇多法皇がこの夜の月を無双と賞したのによるともいう。《 季語・秋 》
      1. [初出の実例]「十三夜影勝於古、数百年光不今」(出典:本朝無題詩(1162‐64頃)三・九月十三夜翫月〈藤原忠通〉)
      2. 「十三夜のこころをよめる」(出典:千載和歌集(1187)秋下・三三七・詞書)
  2. [ 2 ] 小説。樋口一葉作。明治二八年(一八九五)発表。夫に虐待され家庭生活に絶望したお関が、車夫に身を落とした幼友だちに会い、一度出た婚家に再びもどるという筋。封建的な社会の矛盾を女性の立場から哀切に描く。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「十三夜」の意味・わかりやすい解説

十三夜
じゅうさんや

陰暦9月13日夜のこと。この日に月見をする慣習があり、8月15日夜の芋(いも)名月に対して豆名月といい、後の月見(あとのつきみ)ともいう。醍醐(だいご)天皇の延喜(えんぎ)19年(919)に、清涼殿で月見の宴を催されたのが九月十三夜の始めといわれている。『中右記(ちゅうゆうき)』保延(ほうえん)元年(1135)9月13日の条に、明月の宴が催されたことが記録されている。福岡県糟屋(かすや)郡では九月十三夜を女名月といって、この日女が幅をきかすという。長野県北安曇(きたあずみ)郡ではこの夜を小麦の月見といって、この日の天気がよければ小麦が豊作だという。『徒然草(つれづれぐさ)』には、8月15日と9月13日は、二十八宿のうち婁宿(ろうしゅく)という日で、この宿は清明なので月を翫味(がんみ)するのによい夜とある。八月十五夜と同じく、九月十三夜も果実類を無断でとってもよいという。

[大藤時彦]

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改訂新版 世界大百科事典 「十三夜」の意味・わかりやすい解説

十三夜 (じゅうさんや)

旧暦9月13日の夜のことで,豆名月,栗名月とも呼ばれる。八月十五夜と併せて,〈片月見はするものではない〉と伝えられている。長野県安曇郡その他で〈小麦の名月〉といって,この夜の天気によって,翌年農作豊凶を占う風がある。また福岡県の海岸部では,この日を〈女の名月〉と呼んで,女がいばってもよい日だと伝えている。この夜の神祭りが女性を中心に営まれたことを示す言い伝えであろう。
月見
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「十三夜」の意味・わかりやすい解説

十三夜
じゅうさんや

のちの月ともいう。太陰暦の毎月 13日の夜,またその夜の月のことをいう。狭義には8月 15日の夜 (→十五夜 ) に次いで月見が行われる太陰暦9月 13日の夜のことをいう。十三夜の月見には,収穫期に入るくりや豆を供えるところから,くり名月,豆名月の名もある。『躬恒集 (みつねしゅう) 』に「清涼殿の南のつまに御清水流れ出でたり,この前栽にささら川あり,延喜十九年九月十三日に月の宴せしめ給ふ」とあるところから,平安時代,醍醐天皇の宮中で延喜 19 (919) 年に行われたのが,記録としての最初とされている。

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デジタル大辞泉プラス 「十三夜」の解説

十三夜

山田うんの振り付け・演出によるモダンダンスの演目。2014年11月初演。男女13名のための群舞作品。山田は本作の成果などにより、2015年、第65回芸術選奨舞踏部門新人賞を受賞。

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世界大百科事典(旧版)内の十三夜の言及

【月見】より

…陰暦八月十五夜と九月十三夜を〈お月見〉〈名月(めいげつ)〉と呼んで,さまざまな供物をして月を拝し,また観賞する風は広く各地にゆきわたっている。都市とその周辺では,名月が古来,詩歌や俳諧の好題目とされてきたこともよく知られている。…

※「十三夜」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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