後志(支庁)(読み)しりべし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「後志(支庁)」の意味・わかりやすい解説

後志(支庁)
しりべし

北海道西部、渡島(おしま)半島の基部一帯を占める町村を所管した北海道庁の出先機関。2010年(平成22)、支庁制度改革によって後志総合振興局に改称・改組された。旧後志支庁の所管区域は寿都(すっつ)、黒松内(くろまつない)、蘭越(らんこし)、ニセコ、喜茂別(きもべつ)、京極(きょうごく)、倶知安(くっちゃん)、共和、岩内(いわない)、積丹(しゃこたん)、古平(ふるびら)、仁木(にき)、余市(よいち)の13町と島牧(しままき)、真狩(まっかり)、留寿都(るすつ)、泊(とまり)、神恵内(かもえない)、赤井川の6村で、支庁所在地は倶知安町。原則として市域は所管外であるが、小樽(おたる)市を含む地域を意味する場合もあり、また実務上も同市を含めて管内とされることが多かった。

 1910年(明治43)小樽支庁、岩内支庁、寿都支庁の3支庁が合併して成立した支庁で、東は太平洋、北と西は日本海に面する。管内の大部分が火山や火山性の丘陵地で、羊蹄山(ようていざん)、ニセコ山塊や赤井川カルデラなどを、尻別(しりべつ)川、余市川、堀株(ほりかっぷ)川、朱太(しゅぶと)川が刻んで小平野をつくる。冬の季節風により降雪が多く、道内有数の多雪地帯。沿岸はかつては千石場所とよばれるニシン漁場であった。現在ではスケトウダラが多く、ホッケ、エビ、イカなども産し、ウニアワビの増殖や沿岸漁場整備が進められている。農業は水稲酪農のほか、羊蹄山麓(さんろく)のジャガイモアスパラガス、余市の果樹栽培などが知られ、産物多種に及ぶ。ニセコアンヌプリの山麓にはスキー場や温泉が多く、北部日本海岸とあわせてニセコ積丹小樽海岸国定公園に含まれる。羊蹄山は支笏洞爺(しこつとうや)国立公園域。

[瀬川秀良]


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