北海道西部、後志山地中部に位置し、後志支庁
近世より「夷地第一の高山也」といわれ(東海参譚)、「尻別嶽」(「和漢三才図会」所載蝦夷之図、「駅路抵記」)、「シリヘツ山」(谷「蝦夷紀行」)、「シリベツノボリ」(風俗人情之沙汰)、「
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北海道南西部,渡島(おしま)半島の基部にある火山。標高1898m。後志(しりべし)火山群の一つで,南東にある尻別岳(1107m)に対してかつては後方羊蹄(しりべし)山と呼ばれた。富士山に似た山容をもち,蝦夷富士とも呼ばれる。直径約13kmのほぼ円形の基底をもつ円錐形の成層火山で,火口は直径約700m,深さ約200mのすり鉢型をなしている。融雪期には水をたたえ,父釜と呼ばれる火口湖となる。噴火の記録はみられない。山体は輝石安山岩が主で,側火山もみられ,北西麓にある半月湖は,爆裂火口中に小溶岩丘が噴出して半月形を呈したものである。山体には西側を除いて雨水や雪食によって生成された放射谷が発達しており,その下端に土石流の堆積物がある。斜面には植物の垂直分布がみごとに展開されており,1921年には国の天然記念物に指定されている。山麓ではナラやダケカンバ,六合目まではエゾマツやトドマツの原生林をなし,これより上はハイマツ帯となっている。山頂部にはミヤマキンバイ,エゾフジタンポポなどからなるお花畑がある。登山口には比羅夫(ひらふ)口,俱知安(くつちやん)口,真狩別(まつかりべつ)口などがあるが,比羅夫口がよく利用されている。登山道はよく整備されており,9合目付近には避難小屋もある。山頂からは東に恵庭(えにわ)岳,樽前山や支笏(しこつ)湖を見おろし,南は眼下に洞爺(とうや)湖,昭和新山,噴火湾を,西はニセコ連峰,日本海をのぞめる。
執筆者:奥平 忠志
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北海道南西部、渡島(おしま)半島の基部にある山。後志火山群(しりべしかざんぐん)の一つで、標高1898メートル。円錐(えんすい)状火山で蝦夷富士(えぞふじ)ともよばれる。後志総合振興局管内の倶知安町(くっちゃんちょう)、ニセコ町、真狩村(まっかりむら)、喜茂別町(きもべつちょう)、京極町の境界にある。基底は新第三系で、その上に輝石安山岩、紫蘇(しそ)輝石安山岩がのる。頂上には周囲2キロメートルの楕円(だえん)形の火口がある。山体は放射谷により刻まれ、春先には崩壊が著しい。北西麓(ろく)にある半月湖は爆裂火口跡とされる。標高650メートルまではナラ、ダケカンバなど、1050メートルまではエゾマツ、トドマツ、それ以上はハイマツで覆われ、ミヤマエンレイソウ、コケモモなどの高山植物がみられる。植生の垂直分布の変化がよくわかり、「後方羊蹄山の高山植物帯(しりべしやまのこうざんしょくぶつたい)」として国の天然記念物に指定されている。登山口は比羅夫(ひらふ)口、真狩口、留産(るさん)口、京極口がある。頂上からは洞爺(とうや)湖、有珠(うす)山、ニセコアンヌプリなどが眺められ雄大である。山麓ではジャガイモ、アスパラガス、サトウダイコンなどを産す。
[瀬川秀良]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 日外アソシエーツ「事典 日本の地域遺産」事典 日本の地域遺産について 情報
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