後期中等教育(読み)コウキチュウトウキョウイク

デジタル大辞泉 「後期中等教育」の意味・読み・例文・類語

こうき‐ちゅうとうきょういく〔‐チユウトウケウイク〕【後期中等教育】

中等教育を前後2期に区分したとき、後期に属する教育。現在の日本では高等学校段階の教育。→前期中等教育

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精選版 日本国語大辞典 「後期中等教育」の意味・読み・例文・類語

こうき‐ちゅうとうきょういく‥チュウトウケウイク【後期中等教育】

  1. 〘 名詞 〙 中等教育の後段階として行なわれる教育。日本では高等学校段階教育にあたる。高等学校のほか各種学校、技能者養成、企業内教育青年学級などを含めた中学校卒業後一八歳までの教育の総称

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「後期中等教育」の意味・わかりやすい解説

後期中等教育
こうきちゅうとうきょういく

中等教育のうち、後半の教育段階をいう。中等教育は19世紀中葉の成立当初、6~9年制の大学進学を目ざす教育を施すものであった。第一次世界大戦後は、中等教育の大衆化を図るために、各国前期と後期に二層化されてきた。前期中等教育が義務教育の一環として共通教育を施す傾向にあるのに対して、後期中等教育は大学準備教育、職業教育、社会に出る者に対しての実務教育などに分岐する傾向がある。そのため、前期の生徒の「適性観察・進路指導期」に対して、後期は「進路決定期」として性格づけられる。先進諸国にあっては、後期の段階まで大衆化が進み、市民としての共通教育的課題が強調されつつある。

 日本における後期中等教育は高等学校教育にあたるが、「総合制」「男女共学」「小学区制」を三原則として青年期の共通教養を重視した第二次世界大戦後の戦後改革期から、経済成長期(1960年代~)を経て臨時教育審議会答申(1987年最終答申)以降、生徒の「個性」に応じて多様化すること、すなわち高等学校の種別化が強調されてきた。また、1998年(平成10)には学校教育法が改正され、1999年より前期・後期6年間の中等教育をあわせた中高一貫教育を施す「中等教育学校」が誕生したが、前後期の接続改善というよりも、多様化を前期に及ぼすという性格が強い。

[桑原敏明]

『手塚武彦研究代表『後期中等教育比較研究』(1992・国立教育研究所)』『竹内常一他編『講座 高校教育改革』全5巻(1995・労働旬報社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「後期中等教育」の意味・わかりやすい解説

後期中等教育
こうきちゅうとうきょういく

中等教育を前,後の2期に分けた場合の後半部分の教育。日本では高等学校の段階にあたる。 1950年代後半以降,世界の先進諸国において軌を一にして,後期中等教育を中心とする教育改革の問題が取上げられてきた。これら諸国においては,第2次世界大戦後ほぼ 10年間に,前期中等教育までは義務制化が完了し,「すべての者に完全な中等教育」をいかに保障するかが中心的課題になったためである。その要因としては,産業社会自身からの要請,義務年限延長,教育機会均等を求める一般民衆の運動などがあげられる。今日,「多様化」「個性化」が「中途退学」などとともに学校制度だけでなく,教育の内容,方法とも結びついた後期中等教育の最大問題の一つとなっている。

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世界大百科事典(旧版)内の後期中等教育の言及

【学校】より

… とくに1960年代の高度経済成長政策下,学校はその政策実現に必要な人材開発の手段とされた。経済界からの要望をいくつかあげると,60年7月,経済同友会〈産学協同〉,12月日経連〈専科大学創設〉,61年8月日経連・経団連〈技術教育の画期的振興策の確立〉,63年11月経済同友会〈工業化に伴う経済教育〉(高校社会科内容の刷新),65年5月日経連〈後期中等教育〉,68年11月経済同友会〈大学教育の基本問題〉,69年2月日経連〈当面する大学問題〉等々である。1960年代末の大学紛争にあたって大学問題についての見解が出されるが,焦点は後期中等教育であり,61年に5年制の高等専門学校が創設され,6・3・3・4制という単線型の一角が崩された。…

【中等教育】より

…アメリカの6・3制運動はその典型の一つであるが,そこでは新しい中等教育を青年の発達段階に応じて〈青年期教育〉としてとらえる教育観がみられるようになった。 戦後日本の学制改革が新制中学校を〈前期中等教育〉として義務教育化し,新制高等学校を〈後期中等教育〉として準義務教育化したのは,そのような〈青年期教育〉の発想にもとづくものであったといってよい。しかし,その後の高度成長期における高校〈多様化〉政策と高校全入運動との対立に端的にみられるように,そこには高校入試問題や教育課程の編成問題等,未解決な問題がたくさん残っている。…

※「後期中等教育」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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