得能氏(読み)とくのううじ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「得能氏」の意味・わかりやすい解説

得能氏
とくのううじ

中世の伊予国(愛媛県)の豪族伊予の有力豪族河野(こうの)氏の支族で、河野通信(みちのぶ)の子通俊(みちとし)を祖とするといわれる。桑村(くわむら)郡得能(現西条(さいじょう)市丹原(たんばら)町徳能)を本拠地とする。鎌倉末期に出た通綱(みちつな)は、1333年(元弘3・正慶2)後醍醐天皇(ごだいごてんのう)の元弘(げんこう)の変に呼応して兵をあげた。その後同族土居通増(どいみちます)らとともに新田義貞(にったよしさだ)軍に属して各地を転戦し、1337年(延元2・建武4)3月越前国(えちぜんのくに)金ヶ崎城(かながさきじょう)で討ち死にした。その後一族河野氏の家臣団に組み込まれて戦国時代に至り、1585年(天正13)河野氏とともに滅亡した。本拠の故地には、得能氏の居城と伝えられる常石山城(つねいしやまじょう)がある。

[山内 譲]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「得能氏」の意味・わかりやすい解説

得能氏
とくのううじ

伊予の豪族で河野氏の一族。河野通信の子通俊を祖とし,桑村郡得能を本貫とした。通綱のとき,後醍醐天皇に応じて挙兵,長門探題北条時直と戦い,これを破った。南北朝内乱にも南朝方に属して活躍したが,内乱過程で断絶したらしい。

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