御座石温泉(読み)ございしおんせん

日本歴史地名大系 「御座石温泉」の解説

御座石温泉
ございしおんせん

[現在地名]韮崎市円野町下円井

円野町下円井まるのまちしもつぶらいの南西部、御座石山のうち字湯沢ゆざわにあり、鳳凰ほうおう山麓小武こむ川渓谷に臨む。開湯の年代は不明であるが、近世には下円井村のうちで集落からは二里余離れて位置し、御座石山ノ湯とよばれて(裏見寒話)、湯王権現が祀られていた。「甲斐国志」によると岩間から湧出する温泉は疝癪諸病に効験があり、療養する人は竹を切って筧とし、携行した桶に汲取り持帰って飲用するといい、一桶につき銭三五文を出すことになっていた。慶応四年(一八六八)の下円井村諏訪大明神(現宇波刀神社)の書上(社記)によると、延享二年(一七四五)まで、この湯銭は同明神神主家が集めていたというが、天保六年(一八三五)の下円井村明細帳(下円井区有文書)には「八十年来御運上ニ相成、世話人弥五右衛門より御運上受取、村方より御上納仕候」とみえ、運上永は宝暦六年(一七五六)頃から課せられるようになり、同村の弥五右衛門が利用者から集金し、定額の運上を毎年村方を通して上納していた。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「御座石温泉」の意味・わかりやすい解説

御座石温泉
ございしおんせん

山梨県韮崎市(にらさきし)、小武(おむ)川の支流にある温泉。南アルプス鳳凰三山(ほうおうさんざん)の東麓(とうろく)、標高1100メートルにあり、泉温は低く、沸かし湯である。泉質単純温泉鳳凰登山の基地。古くは銅山があり、御座石千軒といわれたほど栄えたという。近くに青木鉱泉がある。JR中央本線韮崎駅から約20キロメートル。夏季秋季など路線バスが運行される期間もある。

横田忠夫

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