心タンポナーデ(読み)シンタンポナーデ(その他表記)Cardiac Tamponade

デジタル大辞泉 「心タンポナーデ」の意味・読み・例文・類語

しん‐タンポナーデ【心タンポナーデ】

二層になっている心膜の間(心膜腔)に体液血液が大量に貯留することにより、心臓が圧迫され十分に拡張できない状態心膜炎心破裂・上行大動脈解離、および外傷などで起こる。心膜穿刺せんしなどにより、貯留した心膜液を速やかに排出する必要がある。心破裂や大血管損傷がある場合は開胸手術による止血修復が必要となる。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

家庭医学館 「心タンポナーデ」の解説

しんたんぽなーで【心タンポナーデ Cardiac Tamponade】

[どんな病気か]
 急性心膜炎(きゅうせいしんまくえん)や心臓の外傷などによって、心臓とその外側の心膜の間の心膜腔(しんまくくう)に心嚢液(しんのうえき)や血液がたまり、心臓の拡張をさまたげている状態をいいます。こうなると、心臓が送り出す血液の量(心拍出量(しんはくしゅつりょう))が減少します。
[原因]
 心膜の炎症によることもありますが、悪性腫瘍(あくせいしゅよう)の転移や尿毒症(にょうどくしょう)によることが多いといわれています。そのほか、心筋梗塞(しんきんこうそく)、外傷、膠原病(こうげんびょう)なども原因としてあげられます。
[症状]
 心拍出量が低下すると、全身倦怠感(けんたいかん)、血圧低下、脈拍増加や呼吸困難、肝臓の腫(は)れ、下肢(かし)のむくみ、指先のチアノーゼ血色が悪くなる)がみられます。
 心臓の外傷などで急激におこった場合は、ショック状態になります。
[検査と診断]
 心膜腔にたまった心嚢液によって心臓が十分に広がらなくなると、静脈のうっ血(血流のとどこおり)がみられます。胸部X線撮影や心臓超音波検査で心嚢液がたまっていることを確認します。
[治療]
 心膜に細くて長い針を刺し、心嚢液を抜く(排液)方法(心膜穿刺(しんまくせんし))が行なわれます。穿刺は、点滴を行ないつつ、多くは、心臓を超音波で確認しながら行なわれます。
 排液しても改善しない場合は、心膜の切除が行なわれることもあります。
 外傷が原因の場合は、開胸術による止血や輸血が必要となり、治療は、必ず入院し、心電図や血圧を確認します。

出典 小学館家庭医学館について 情報

世界大百科事典(旧版)内の心タンポナーデの言及

【ショック】より

…心原性ショックとはこのポンプ機能に変調をきたしたもので,心筋梗塞(こうそく)でポンプの本体である心筋が大量に壊死に陥り,動きが悪くなったり,リズムに狂いを生ずる(不整脈)と,心拍出量は減少する。また心タンポナーデ(心囊内に大量の液体がたまって,心臓を外側から圧迫する状態)では,ポンプの容量が低下するためにポンプ内に血液が入りにくくなり,同時に外側からおさえつけられるので,動きにくくなって心拍出量は減少する。第3は重い感染を起こしたとき,たとえば敗血症等でみられるものであるが,敗血症からショックに移行する詳細な要因についてはまだよくわかっていない。…

【心破裂】より

…心臓の壁に亀裂が起こり,血液が流出する状態をいう。心破裂が起こると心囊に血液が充満し(このような状態を心タンポナーデという),心室が拡張できなくなり,心拍出量は減少し,血圧も低下して,生命を維持できなくなる。治療は一般に困難である。…

※「心タンポナーデ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

《「晋書」杜預伝から》竹が最初の一節を割るとあとは一気に割れるように、勢いが激しくてとどめがたいこと。「破竹の勢いで連戦連勝する」[類語]強い・強力・強大・無敵・最強・力強い・勝負強い・屈強・強豪・強...

破竹の勢いの用語解説を読む