心臓をおおっている心膜に起こる炎症です。細菌やウイルスによる感染症、
症状は、胸痛のほか、発熱が多くの場合にみられます。胸痛は体位で変化し、横になると痛みが増し、上半身を起こしている時や前かがみになると痛みが和らぐのが特徴です。赤ちゃんであれば、横にすると機嫌が悪くなります。
原因のいかんにかかわらず、
心臓の聴診では心膜の
細菌性心膜炎は一般的に重症で、心タンポナーデになることがしばしばあります。本症が疑われる場合には貯留液を排出し、その液のなかの細菌培養を行い、抗菌薬を投与します。
ウイルス性心膜炎は心筋炎と同様、かぜに似た症状、腹部症状などが先行することがあります。心タンポナーデはまれで一般的に症状は軽いですが、重症の場合は心筋炎の合併に注意が必要です。治療は抗炎症薬などの対症療法を行います。
塚野 真也
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
心外膜の炎症および滲出(しんしゅつ)液貯留をきたす疾患で、心嚢(しんのう)炎、心包炎ともよばれる。病因からはリウマチ性、結核性、敗血症性、尿毒症性、悪性腫瘍(しゅよう)性、外傷性、心筋梗塞(こうそく)性、特発性などに分けられ、心膜変化や滲出液の性状からは線維素性、漿液(しょうえき)性、化膿(かのう)性、出血性、収縮性などに分けられる。また経過により急性と慢性の2型に大別される。
症状は、吸気時に増強する前胸部痛、呼吸困難、チアノーゼなどのほか、滲出液貯留による心臓圧迫症状として、ときに心音微弱、血圧下降、静脈怒張、奇脈などの心タンポナーデ症状を呈することがある。聴診によって特有の心膜摩擦音が聴取される。胸部X線撮影では、滲出性心膜炎の場合は氷嚢状の心拡大、収縮性心膜炎の場合は心膜の石灰化陰影がみられる。心電図では鏡像を伴わないST上昇が特徴である。また心超音波エコー法は、少量の滲出液でも検出できるため、滲出性心膜炎ではもっとも有効な診断法である。治療としては基礎疾患の治療が第一で、リウマチ性にはサリチル酸や副腎(ふくじん)皮質ホルモン剤、結核性には抗結核剤が用いられる。心タンポナーデ症状を呈する場合には、放置するとショック状態に陥るため、診断を兼ねて心膜腔(くう)穿刺(せんし)による貯留液の除去が行われる。収縮性に対しては心膜切除術が行われる。
予後は特発性やウイルス性などの場合は良好であるが、そのほかの場合は適切な治療が行われなければ不良である。
[井上通敏]
…心囊炎とは,心臓を包む心膜pericardium(心臓の表面を包む心外膜epicardiumと狭い心膜腔を隔てて心臓を包む狭義の心膜から成る)の種々の原因によって起こる炎症病変の総称であり,心膜炎あるいは心包炎ともいわれる。心囊炎は通常,急性心囊炎,慢性心囊炎,先天性心囊炎の三つに大別される。…
※「心膜炎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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