六訂版 家庭医学大全科 「急性精巣炎」の解説
急性精巣炎
きゅうせいせいそうえん
Acute orchitis
(男性生殖器の病気)
どんな病気か
細菌の感染によって精巣だけに炎症が起こることはまれであり、多くは細菌性精巣上体炎が波及して精巣にも炎症が起きます。一方、ウイルス感染である
原因は何か
おたふくかぜの原因のムンプスウイルスです。小児期におたふくかぜにかかっていない人や予防接種を受けていない人は、このウイルスに対する免疫がありません(ウイルスの感染を受けても発症せず、免疫だけもっている人もいます)。免疫のない成人がこのウイルスの感染を受けると、耳下腺とともに精巣にもウイルスが感染し、炎症を起こすのです。
症状の現れ方
耳下腺炎後、4~7日後に急激な精巣の痛みとはれが起き、発熱や
検査と診断
耳下腺炎の先行と、精巣の症状から診断は簡単につきます。正確には咽頭や精液からのウイルス分離や血液中のウイルスに対する抗体の値が初回より2回目の測定で上昇していることを証明します。尿中にうみや細菌は認められません。
治療の方法
ムンプスウイルスに有効な薬はなく、症状を和らげるための治療を行います。痛みや熱を抑えるための解熱鎮痛薬を投与し、
病気に気づいたらどうする
経過から自分でも診断がつくかもしれませんが、やはり一度は泌尿器科を受診しておいたほうが安心です。できるだけ精巣へのダメージを少なくするため、家で安静にしているか、入院治療をすすめます。
関連項目
岸田 健
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報