おたふくかぜとして知られる。九州大大学院医学研究院などの研究チームによると、国内では小児を中心に、毎年数十万~100万人以上の患者が出ている。耳の近くの腫れや発熱が主な症状だが、髄膜炎や精巣炎、卵巣炎、難聴といった合併症を引き起こすことがある。感染力が強く、学校保健安全法では出席停止の対象となる。
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出典 共同通信社 共同通信ニュース用語解説共同通信ニュース用語解説について 情報
唾液をつくる耳下腺(耳の前~下)、
ムンプスウイルスが原因です。
突然の発熱、両側あるいは片側の耳下腺のはれと痛みで始まります。2~3日以内に対側の
一度下がった熱が再発し、腹痛、頭痛、あるいは
症状から、診断は容易です。
片側の場合には診断は困難で、ワクチン接種後の発病、
有効な治療薬はありません。ワクチン接種による予防が第一です。発熱や痛みに対してはアセトアミノフェンの内服・坐薬が使われますが、感染症では解熱薬は使用しないほうが免疫系のはたらきも良いようです。
頭痛、嘔吐などが強い無菌性髄膜炎を合併した場合には、腰椎
難聴を合併した場合には、治療法がなく、聴力の回復はほとんど期待できません。通常は精巣炎と同様に片側性です。
痛みが軽くがまんできるようであれば、家庭で安静にしているのがよいでしょう。痛みが強い、あるいは頭痛、嘔吐を伴うようでしたら小児科を受診してください。強い腹痛、
ムンプスワクチンは
脇口 宏
片側あるいは両側の耳下腺の
患者さんからの
2~3週間の潜伏期ののち、片側あるいは両側の耳下腺を中心として、
合併症としては、症状が明らかであった患者さんの約10%が
重要な合併症のひとつとして難聴があり、最近の研究で、頻度は約1000人に1人といわれています。永続的な障害となるので注意が必要です。その他、
特徴的な臨床症状、まわりの流行状況などで診断されることがほとんどですが、耳下腺炎を起こすのはムンプスウイルスだけではないため、流行性耳下腺炎(ムンプスウイルス感染症)であることを証明するにはウイルス学的な診断が必要です。
急性期にムンプス特異的IgM抗体を検出するか、ペア血清でのIgG抗体価の上昇にて診断されます。また最近では、RTPCR法でウイルス遺伝子(RNA)を検出することが可能になっています。
基本的に対症療法であり、合併症を併発した場合は入院して治療することが多くなります。集団生活に入る前にワクチンで予防しておくことが、現在とりうる最も有効な感染予防法です。
流行性耳下腺炎は、学校保健安全法では第二種の感染症に属しており、耳下腺のはれが消えるまで登校・登園停止となります。発症が疑われた場合は、かかりつけの小児科(成人の場合は内科)を受診してください。
多屋 馨子
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
ムンプスmumpusともいい、ムンプスウイルスの感染によっておこる急性伝染病で、高熱を出して耳下腺が腫(は)れ、お多福(おかめ)のような特有の顔つきになるところから、俗に「おたふくかぜ」とよばれる。幼稚園から学童期の小児がかかりやすく、学校感染症の第2種に含まれている。感染症予防・医療法(感染症法)では、5類感染症の定点把握疾患に指定されている。都市部では1年を通じてみられるが、一般には冬から早春にかけて多発する。
潜伏期は2、3週間で、初めは熱がすこし出て頭痛がしたりするが、そのうち耳下腺部(耳たぶの下方)が片側だけ、あるいは両側が腫れてくる。片側の場合でも2、3日すると反対側も腫れてくることが多い。このころには熱が40℃前後になることもあり、腫れた部分は弾力があり、押したり口を動かすと痛むが、その部分に熱をもったり、見たところ色が変わったりすることはない。
特効薬はなく、安静にして腫れた部分に冷湿布を当て、柔らかい食事を与え、うがいをたびたび行って口中を清潔にしておけば、1週間くらいで熱や腫れが引いて治癒する。まれにウイルスが頭部に移行して脳炎や髄膜炎をおこすと、頭痛、嘔吐(おうと)、意識混濁、けいれんなどの症状を呈する。また、成人が罹患(りかん)した場合には精巣炎や卵巣炎をおこすことがあり、両側の精巣が侵されると男性不妊症の原因となることがある。予防としては、発熱の初期から解熱後1週間までは飛沫(ひまつ)感染の危険があり、耳下腺の腫れが完全に消失するまでは幼稚園や学校を休ませる。また、個人的な予防には弱毒生(なま)おたふくかぜワクチンが有効である。なお、一度かかれば終生免疫が得られる。
[柳下徳雄]
ムンプスウイルスによる感染症。ムンプスmumpsともいい,また耳下腺がはれて特有の顔つきとなることから,俗に〈おたふく風邪〉ともいう。このウイルスはパラミクソウイルス属に属し,径85~300nm,ヒトからヒトへの飛沫感染によって伝染する。発症は大部分が5歳以下の小児で,冬から早春にかけて流行することが多い。潜伏期間は2~3週間。全身倦怠,発熱をもって発症し,唾液腺が腫張して痛む。とりわけ耳下腺に著しく,多くの場合両側とも腫張するが,片側のこともある。症状はふつう1週間内外で消失するが,ときに髄膜炎,膵炎,関節炎,睾丸炎,卵巣炎を合併することがある。これらの合併症も一定の期間を経てほぼ完全に治癒するが,思春期以後の男子が罹患し睾丸炎を合併すると,不妊となることがある。治療は安静のうえ,痛みや発熱などに対して対症療法を行う。一過性の病気で,予後は良好であり,ほとんどが完全に治癒する。また一度罹患すると終生免疫が得られる。
執筆者:佐藤 祥之
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